2021 Fiscal Year Research-status Report
Developing the teaching material for clothing-life education with contents of Okinawa specific features: Especially fo the practicum of weaving and dyeing in home economics.
Project/Area Number |
19K02765
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松本 由香 琉球大学, 教育学部, 教授 (70259274)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 沖縄 / 染め / 衣生活教材 / 教材開発 / 染料植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、沖縄の染めの教材研究をテーマとして研究をおこなった。沖縄の染めの代表的な植物である藍、福木、紅花、シャリンバイ、月桃をとりあげた。藍については、琉球藍の栽培から始め、藍葉を収穫して藍染めをおこなった。福木、シャリンバイ、月桃については、採集して染めをおこなった。また紅花については、栽培を試みたが花弁を採集することはできなかったため、市販の花弁をつかい、染めをおこなった。さらに沖縄で代表的な花で身近に咲いているハイビスカスやブーゲンビリア、雑草の草花を採集し、布に巻きつけて蒸すという草花プリントも実験的におこなった。 植物染めは、植物から抽出した染料によってのみ染められるのではなく、媒染剤の使用が必要である。媒染剤として、ミョウバン、重曹、石灰、灰汁、酢といった身近なものをつかうことにし、植物の種類によって、どの媒染剤が適切かを、実験して確認した。そしてさらに簡単にできる濃染処理として、染める前に、牛乳や豆乳を薄めた液に布をつけることが有効であることを確認した。植物染めは、どこか調理に似ていて、材料の分量を工夫して独自の配合によって現れる色が異なることから、染める人が自分なりの色の個性を表現できることがわかった。 以上の研究結果を、染めの教材の原稿にまとめ、「沖縄の地域的特色を活かした衣生活教材開発-染めの教材研究-」として、琉球大学教育学部紀要に2022年4月に投稿する。その教材の記述については、沖縄の染め織りにたずさわってきた人びとの染めの試行錯誤の工夫や努力、染めの歴史の深さに思いをはせながら、染めるときの楽しさ、媒染剤に布を浸けることによって、植物染料に染まった布の色が一瞬で変わる不思議さ、おもしろさ、作品が完成したときの充実感、達成感などを体感できるようなものにしたいと思う。 そして今後も、藍葉の栽培、染色の実験・研究を継続していきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の計画については、藍、福木、シャリンバイ、紅花、月桃の染料植物をとりあげ、ハンカチ染めを実践して、その方法を教材化することを目的として、研究を実施してきた。 それぞれの染めの材料、準備するものから染めの方法について、具体的に自ら実験して染め、染色方法を記録し、教材原稿を書くことができた。また染めの文様表現についても、輪ゴムや糸、割りばし、洗濯ばさみ、ビー玉などをつかって絞ったり、たたんだりして文様を表す方法を提案することができた。実際に自ら実践してみて、楽しいと思ったし、藍染めについては、ゼミの学生らとともにおこない、学生たちも、藍染めした色が緑から青にどんどん変化するようすに驚き、染めの醍醐味を味わうことができた。 そして植物染めをしたことがない人にも、染めの楽しさが味わえるような原稿を作成することができたと考えていて、2021年度の研究を、順調におこなうことができたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究テーマは、「沖縄の織り・編みの教材研究」である。 織りについては、高機や地機をもっていない人を想定し、木や竹の棒を組み合わせて織る沖縄本島中部に位置するうるま市伊波に伝わる伊波メンサ―織の技法からアイディアを得た腰機を作成したり、木枠に釘を打ってつくる織り機、厚紙でカードをつくり穴をあけた綜絖(たて糸を上下させる道具)に糸をとおして織るカード織などの織りを実験する。織りの素材には、これまで研究してつくってきた綿糸、苧麻糸、芭蕉糸、絹糸をつかって、コースターなどの簡単な布を織り、藍染め、月桃染め、福木染めなどの染めを実践し作品づくりをして、教材にまとめていきたい。 そして編みについては、月桃や竹、あだん葉などの沖縄に身近にある素材をとりあげ、手提げ袋、かご、ぞうりなどの民具の歴史も調べ、実際にそれらの技術を学び、つくり方をまとめて教材化する。
|