2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K02772
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
永添 祥多 近畿大学, 産業理工学部, 教授 (90461483)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大学の教養教育 / 日本近世史 / 徳川将軍 / 日本史教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は4月に単著の『徳川将軍の治世と人物像』(風間書房、260頁)を刊行した。この書籍は大学の日本史概論用の教科書として執筆したものであり、実際に近畿大学や福岡工業大学の教科書として使用している(履修者約800名)。この教科書は大学の歴史教育のカリキ作成に新しい試みをおこなっている。第一に、各将軍の治世の概要・歴史的意義と並んで将軍の人物史としての観点から、将軍の生い立ち、父母・妻子・子ども・趣味・学問武道・死因などの私生活についても記していおり、類書にはない内容構成を取っており、政治史と人物史の同時並行記述という、全く新しい歴史教科書の叙述スタイルを取っている。第二に、史実に立脚しながらも、物語性を重視しており、高等学校までの歴史教科書の叙述スタイルである史実の羅列ではなく、歴史的因果関係を意識して叙述している。第三に、大学の教科書という性格上、治世の概要に関しては、適宜、最新学説を紹介することによって、従来の江戸時代史の書き換えが行われている学界の情勢を反映させている。第四に、歴史用語や人名は難読なものが多いため、すべての元号・人名・地名・歴史用語などにルビをつけ、さらに歴史用語については、用語の後の()の中に具体的説明を入れており、歴史学習に対する興味を増すように努めている。このような全く新しい歴史教科書を作成することにより、我が国の伝統文化の一環である日本史学習のカリキュラム開発の具体例を示した次第である。
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