2021 Fiscal Year Research-status Report
分化後の教科コンピテンシーの特性に着目した統合教科生活科の授業と評価モデルの開発
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19K02773
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
酒井 達哉 武庫川女子大学, 教育学部, 教授 (10638050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 信之 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (20345771)
宇都宮 明子 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40611546)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活科 / 認知系・非認知系コンピテンシー / 評価規準 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究の目的は、日本の生活科の課題を克服するために、認知系・非認知系コンピテンシーを輻輳的に育成する生活科授業の開発を通して、生活科教育の新しい展望を考察することであった。 本研究では、第一に、各単元において社会と理科の領域別に育成すべき認知系・非認知系両コンピテンシーを関連づけた活動を構想し、その活動を通して両コンピテンシーの育成を評価する評価規準を設定することで生活科の課題を克服する方策を提起した。第二に、その方策に基づく実践開発的研究として、小単元「鳴尾いちごの今・昔」の学習指導案を作成した。本学習指導案では、学習活動と評価規準が中核をなす。評価規準では、認知的側面と社会・情動的側面に分けてコンピテンシーを明示した。認知系コンピテンシーを認知的側面としており、基礎的な認知能力、獲得された知識、外挿された知識からなる知識・思考・経験を獲得する心的能力、獲得した知識をもとに解釈し、考え、外挿する能力である。非認知系コンピテンシーを社会・情動的側面としており、目標の達成、他者との協働、感情のコントロールからなる一貫した思考、感情、行動のパターンに発現し、フォーマルまたはインフォーマルな学習体験によって発達させることができ、個人の一生を通じて社会経済的成果に重要な影響を与えるような個人の能力である。これら両側面が関連して作用することで、コンピテンシーが相乗的に高まるのである。 以上のように、本学習指導案の提案を通して、認知系コンピテンシーと非認知系コンピテンシーの輻輳的な育成を図る新たな生活科の授業構想と評価規準を明らかにすることが生活科の展望を拓くという結論を導いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の研究においては、主に以下の2点の成果を挙げることができたのが理由である。 ○認知系・非認知系コンピテンシーの観点から生活科の課題を克服する新しい生活科の授業と評価規準を提示できた。汎用的能力であるコンピテンシーは、認知系・非認知系コンピテンシーを切り分けるのではなく、両コンピテンシー間の相互作用においてこそ育成できるものである。認知系コンピテンシーと非認知系コンピテンシーの輻輳的な育成を図る新たな生活科の授業構想と評価規準を明らかにすることが新しい生活科の展望を拓くということを結論として導き出した。 ○研究協力校である公立小学校において、小学校2年生を対象にした合計6時間にわたる生活科の授業を実施し、小単元「鳴尾いちごの今・昔」の学習指導案の有効性や改善点を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
〇生活科におけるコンピテンシー・モデルの開発研究の継続 第1に、事実教授における歴史及び理科学習と生活科における歴史及び理科学習の比較分析を行い、生活科ではどのような学習を実施すれば中学年以降の歴史及び理科学習と接続できるのか、子供と生活界と後続する教科の認識体系を関連づけることができるのかを考察する。第2に、第1の考察を踏まえ、生活科独自のコンピテンシー・モデルを開発する。 〇生活科授業実践と評価モデルの開発研究の継続 開発した生活科独自のコンピテンシー・モデルに基づいて、そのコンピテンシーの育成とその到達度を評価する生活科授業と評価モデルを開発する。 ○4年間にわたる研究の成果を書籍にまとめ、刊行する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響で2021年度も予定していた出張の中止が余儀なくされた。よって、その旅費は次年度に感染状況を見極めながら使用する計画である。また、本研究の成果を書籍にまとめ、刊行するための費用にも使用する予定である。
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Research Products
(1 results)