2020 Fiscal Year Research-status Report
消費者市民を育む高校家庭科調理実習カリキュラムの開発:食品ロスに着目して
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19K02777
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
石島 恵美子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (10736325)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食品ロス / 消費者市民教育 / 環境教育 / 家庭科 / 調理実習 / 問題解決型学習 / 問題解決型調理実習 / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、令和元年度に実証的エビデンスを基に作成し高校生に実施した「家庭内食品ロス削減行動を促す問題解決型調理実習プログラム」の教育効果の分析をさらにすすめ、学会誌に論文を投稿した。 論文では、当該プログラムにおける学習者の家庭内食品ロス削減の行動性向上プロセスを明らかにすることを目的として、食品ロス学習プログラムの学習活動に対する捉え方および意識変容の評価にあたって収集した学習者の感想の質的データを基に検討した。分析方法は、2種の質的データ分析法の相補性を担保できることから、混合分析法(共起ネットワーク分析および質的内容分析)とした。分析の結果から、当該プログラムにより、学習者は食品ロスのような社会的な問題の認識を深め、調理技能を自覚し、消費者市民としての価値観の内面化が図られることが明らかとなった。また、調理技能習得の内発的動機付けが強化され、今後の生活において主体的に問題解決に取り組もうとする姿勢が育まれることが明らかとなった。特に、問題解決型調理実習は、社会的な課題に対する身体的理解が生まれ、実行可能性評価、自己肯定感、食品ロス削減行動への高揚感が発現される学びのプロセスが示唆された。尚、前述の結果は、論文投稿中のため、令和2年10月に実施された日本消費者教育学会における口頭発表の内容までを記載した。 また、作成した「家庭内食品ロス削減行動を促す問題解決型調理実習プログラム」を基に、家庭科教員のみならず広い読者を対象とする『SDGsと家庭科カリキュラムデザイン』の著書を執筆し、発刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外の研究者から協力が得られ、現地調査を補う文献収集が順調に進んだことが、研究の推進力となった。 また、茨城県の地方自治体や教育委員会からの協力により、高等学校での「家庭内食品ロス削減行動を促す問題解決型調理実習プログラム」授業実践の際の質的データが得られ、研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は「研究の発信期」である。 令和2年度に完成させた「家庭内食品ロス削減行動を促す問題解決型調理実習プログラム」について、学会にて研究成果の発信を積極的に行う。具体的には、第64回日本家庭科教育学会大会のシンポジウム(招待あり)において報告する。 また、各都道府県にて家庭科教員研修会などを開催し、著書・研究成果報告書などの研究成果の発信を行う。具体的には福島県教員研修会(招待あり)、笠間市市民研修会(招待あり)において講演をする。 研究協力者への研究成果のフィードバックとしては、継続的に連絡を取り合い食品ロス削減教育のフォローアップをする。
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Causes of Carryover |
COVIDー19感染拡大のため、調査方法を変更せざる得なく、現地調査から文献調査へ、インタビュー調査から質問紙調査としたため、交通費の支出がなかった。 令和3年度の使用計画は、研究成果を発信を目的とした資料の制作及びオンライン機器の購入である。
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Research Products
(4 results)