2023 Fiscal Year Annual Research Report
教職大学院における学修の成果としての報告書にみる理科教育学研究の成果と課題
Project/Area Number |
19K02783
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
松本 伸示 兵庫教育大学, その他部局等, 名誉教授 (70165893)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教職大学院 / 学修の成果としての報告書 / 理科教育学研究 / テキストマイニング / 質的データ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,改組が進められてきた教職大学院における理科教育に関する実践研究の実態と今後の課題を明らかにしようとするものである。そこで,全国の教職大学院の実態調査や最近提出された理科関連の「学修の成果としての報告書,以降,実践報告書」を収集してきた。最終年度は,新たに上越教育大学や岐阜大学など平成5年度で大学院改組が完了した大学院を含めた38教職大学院から実践報告書やその抄録を計351編収集した。 これらの調査の結果,教職大学院に所属する理科関係教員の人数は増えてきた。理科関係教員が0人は8校だけとなった。個別に見ても5人以上の教職大学院が15校ある。 収集した実践報告書を分類した結果,理科教育学会の発表分野「認知・動機付け・概念形成と発達」に関する研究が全体の4分の1以上を占めていた。 さらに,テキストマイニング分析の結果,重要キーワードとして,上位に「授業」「学習」「実践」などあがってきた。この結果は改組以前とほぼ同等の結果となった。ただ,今回,「高等学校」が上位7番目に上がってきている。マッピングからは「授業」-「実践」-「教材」-「開発」などをキーワードとした構造が明らかになった。この中で「授業」-「実践」の構造には「学習」や「科学的」-「思考」-「育成」などがつながる。これは教職大学院設立当初から抽出されてきたものである。一方で,今回の分析で「教材」-「開発」-「実験」の構造が新たに加わった。 これらの結果から,近年の教職大学院の改組を経て教職大学院が高等学校関係者の理科研究の受け皿にもなってきていることが伺える。そして,実践研究の内容については,従来の理科教育学的研究に加えて,実験を含めた教材開発研究が1つの柱にもなってきている。ただし,すべての教職大学院で今回明らかになった変化が確認されるわけではない。地域によっては理科関係教員が所属していない教職大学院もある。
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