2022 Fiscal Year Research-status Report
生活者育成ためのレッスン・スタディを軸とした教員研修モデルの開発
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19K02787
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
貴志 倫子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60346468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 紀子 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 名誉教授 (90212597)
井元 りえ 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (30412612)
鈴木 真由子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60241197)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教員研修 / 生活者育成 / 消費市民社会 / 家庭科 / レッスン・スタディ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,UNESCOが提唱する生活に責任をもつ市民(生活者)の育成のために,その役割を担う家庭科のレッスン・スタディを国際連携のもとで推進することを通して,授業研究の過程に必要な情報とツールを解明し,家庭科教育の視点に基づく授業研究を軸とした教員研修のモデル作成を行うことを目的としている。 本年度はまず,責任ある消費にかかる教員研修プログラムProfESus.euのプロジェクトの全容を明らかにするために,プロジェクト報告書の訳出と関連情報の収集整理を行い,一つはProfESus.euプロジェクトで共有された持続可能性にかかるコンピテンシー開発の歴史的経緯と背景の考察,二つは,教員研修プログラムの概要と研修で提案された具体の授業案および研修履歴の活用について考察し,それぞれの研究成果を学会発表する準備を進めた。第二に,20~21年度に実施した日本の教員養成学生を対象としたレッスン・スタディによる授業動画視聴の気づきの調査分析を行い,家庭科の授業実践力育成への示唆を得てまとめ,学会発表を行った。さらに21~22年度にかけて校種,対象の異なる8つの教員研修において,同じ授業動画を用いたプログラムを組み込み,受講教員の気づきのデータ収集を行い,分析し,成果をアジア地区家政学会で発表する準備を進めた。第三に,研究協力者であるアイルランドのDr.MacSweeney,フィンランドのDr.Kuusisaari等と情報交流を行いながら,国際家政学会にて生活者育成にかかるレッスン・スタディのシンポジウムおよびワークショップを実施した。また同学会にて,教員研修機能を有する日本の大学附属学校における授業研究の事例研究をまとめ発表した。 以上をもとに,協働的レッスン・スタディに基づく研究授業の参観・視聴を含む日本の教員研修の強みと課題を把握できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により,国際連携によるレッスン・スタディの実施計画は大幅な変更を余儀なくされたものの,予定していた国際学会でのシンポジウムとワークショップの実行はできた。ただ,学会のハイブリット開催の影響などから海外研究者,実践者のワークショップ等への参加人数は想定を大きく下回り,レッスン・スタディを軸とした研修プログラムに生かす十分なデータを収集することができなかった。 多方,研究計画の修正により対象とした,日本国内でのこれまでの資料調査と学生及び教員対象の調査データ分析と結果の公表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるため,実施したシンポジウムとワークショップの成果,およびこれまで実施した教員研修プログラムの検証と調査の成果をまとめ,教員研修モデルの提案に着手し,研究成果を総括する。 具体的には,欧州の研究者を中心に組織され,実施されたProfESus.euのプロジェクトが,責任ある消費にかかる教員研修としてどのように機能したか,オンラインを活用した研修方法と教員育成のコンピテンシーに基づく内容構成に着目して考察し,日本の家庭科を中心とした教員研修への示唆をまとめる。平行して,レッスン・スタディに基づく授業動画の視聴を組み込んだ教員養成課程での授業実践と教員研修での実践から,研修教材としての授業動画の効果的な活用法と研修プログラムの要素を明らかにする。海外の研究協力者との連携をはかりながら国内外の授業研究や教員研修にかかるICTの活用状況を注視し,これまで授業研究や教員研修が内包していた時間的拘束や移動距離の課題を解決し得る方策を検討する。GIGAスクール構想による校内ICT環境の整備により,当初計画の想定以上に教員研修へのICT導入が加速していることを受け,オンラインを活用した教員研修の方法にも焦点を広げ,モデル構想を進める計画である。
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Causes of Carryover |
研究期間再延長のため。使用計画は、国際学会出張旅費として。
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Research Products
(7 results)