2021 Fiscal Year Research-status Report
Team and Inquiry based Learning: Extending Student Understanding and Competency, and Observing Career Prospects
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19K02795
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
乾 明紀 京都橘大学, 経済学部, 准教授 (80571033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 拓樹 京都光華女子大学, キャリア形成学部, 教授 (10444241)
杉岡 秀紀 福知山公立大学, 地域経営学部, 准教授 (10631442)
佐藤 達哉 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (90215806)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | チーム探究 / 総合的な探究の時間 / キャリア展望 / TEA(複線径路等至性アプローチ) / 総合学習 / 文化心理学 / 質的研究 / 地域づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
公立高校3校を対象に「チーム探究」に関する生徒の変容過程や要因について検討した。A高校に関する研究では、まず、質問紙調査にて探究活動とキャリア展望の関係を検討した。その結果、キャリア展望が明確になった生徒は、研究内容に加え新たな人や図書などとの出会いに楽しさと価値を感じながら積極的にチームに関与・貢献していた。また、インタビュー調査とTEA(複線径路等至性アプローチ)による詳細な分析も開始した。これらの研究は、学会等で発表し、論文にまとめた。 B・C高校に関する研究では、クラス全体を単位とした分析では、学年進行に伴う探究学習に関するイメージやキャリアの展望に対する優位な変容は確認できなかった。このため、個人レベルの変容を調査し,その変容を決定する要因について検討した。これらの結果は学会等で発表した。また、これらの探究活動の実践は教育雑誌に紹介された。 さらに、新たな調査研究として、公立3高校を対象に校長ヒアリングなどをおこない考察し、その取り組み内容の特徴などを論文にまとめた。 実践研究としては、学校運営協議会や教育委員会の審議会、さらには大学コンソーシアム京都高大連携推進室の委員として、高校教育のあり方などについて検討した。また、教育委員会のWWLプログラムの開発支援や個別高校の探究活動支援などもおこなった。 加えて、今後の探究活動のあり方を検討するために、キャリア発達支援、インターローカルな域学連携による関係人口創出、地域の再発見や地域づくりなどについても複数の論考にまとめた。理論的研究としては、TEAにフランスの哲学者・シモンドンのtransductionならびにindividuation、日本の心理学者・松村康平による関係学ならびに接在共存構造の理論、スイスの文化心理学者・タニア=ジットゥンによるimaginationの3つの考え方を組み込み、探究学習論への応用を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、研究対象校である高等学校の探究学習は、計画時に予定していた年間スケジュールや最終成果物に変更が生じた。それに伴い研究計画も変更せざるをえず、2021年度についても予定していたタイミングで質問紙調査やインタビュー調査ができなかったり、先進校への訪問調査や海外研究者との学術交流などができなかったりした。このため、やや遅れが生じている。 しかし、研究に必要な情報は着実に集まってきており、分析のスピードを速めることで 対応可能と考えている。また、若干の遅れは生じてはいるものの研究成果を学会や論文にて発表するとともに、教育委員会や各高校などの実践にも還元しており、当初の研究目的に沿って着実に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き「チーム探究」に関わる生徒の変容(発達)をプロセスも含めて質問紙とインタビューによる調査、さらにはそれらの混合法にて明らかにしていく。特に探究活動とキャリア展望の関係を文化心理学の方法論TEAを用いながら検討し、さらにはTEAの理論的展開も図っていく。これらの成果については、日本生活科・総合的学習教育学会での口頭発表、キャリア教育や発達心理学などに関する学会での論文発表、高大連携フォーラムでの報告などを予定している。 また、新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかった海外の研究者との学術交流も検討している。 さらに、様々な実践校や先進校への訪問と情報収集、探究活動のカリキュラムやワークショップの開発とその実践なども継続する。 その他、最終年度にあたるため、これまでの研究成果を踏まえた今後の展開についても構想していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により予定してた学科発表がすべてオンラインでの実施となったこと、海外研究者との学術交流などが実施できなかったこと、訪問調査などができなかったことなどの理由により,旅費を中心に支出できていない。 感染へのリスクがやや低下してきたため、研究協力校での質問紙調査やインタビュー調査の継続はもとより,協力校以外の調査分析や先進事例調査などに研究費を執行する。また、海外研究者との学術交流も可能となれば実施する予定であるため、こちらにも旅費等を執行する。
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