2019 Fiscal Year Research-status Report
書くことに関する「言葉による見方・考え方」とその指導法としての「文種換え」の研究
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19K02802
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
成田 雅樹 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (50361217)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小学校国語科 / 書くこと / 言葉による見方・考え方 / 文種換え / 書くことの学習方略 / 書くことの資質・能力 / 自覚知化 / 深い学び |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の成果は『秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要第42号』に論文として投稿した。本研究の目的は、「書くことに関する『言葉による見方・考え方』」の具体を解明することと、これを学習者が用いることができるようにするための「文種換え」の指導法を明らかにすることの2つである。今年度はこのうち、前者に取り組んだ。すなわち、小学校の学年の別、文種の別、文章制作過程の別を明らかにした「言葉による見方・考え方」の一覧表試案を作成し、考察した。 試案は、研究代表者が編集委員を務めている東京書籍小学校国語教科書(令和2年度採択・使用開始)の書くこと領域の教材を資料として作成した。この教科書では、「言葉による見方・考え方」を踏まえて、各単元の教材に「言葉の力」という記載があり、学習者が当該単元で身につけるべき資質・能力を具体的に示している。ここで習得した資質・能力についての自覚(方法的知識や価値判断)が、後の学習で働かせる「言葉による見方・考え方」になるという考えによるものである。したがって、この「言葉の力」の記載を、後続の学年や学期の単元で学習方略として用いられることを想定し、学習者がメタ認知した方法的知識や思考の方向性として見直すことによって、一覧表試案を作成することができた。 また、試案の考察においては、「言葉による見方・考え方」には、①基盤となる価値意識(「~することはよいことである」といった本質的態度等)、②着眼対象の認識・見方(「~は~である」といった宣言的知識等)、③思考操作の手順に関する留意点・考え方(「~については、~と~を比べなければならない」といった方法的知識・手続き的知識等)の3つが含まれていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「1 研究目的、研究方法など」に記載した平成31年度・令和元年度の計画(書くことに関する「言葉による見方・考え方」の一覧表試案を作成する)を実行し、論文として学部の研究紀要に投稿したことを以て、本研究の進捗状況は「おおむね順調」と判断できるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の2年目及び最終の3年目は、通常の書くことの授業や「文種換え」の授業を分析することによって進める予定である。そのため、研究の計画段階で研究代表者が校長を務めていた秋田大学教育文化学部附属小学校の国語部員3名から、協力の承諾を得ている。令和2年度の人事異動で国語部員に入れ替えはない。 仮に、予期せぬ事柄によって授業を提示してもらえなくなったとしても、3名がそれぞれ令和元年度に試行した「文種換え」の授業や、書くことの指導の資料を提供してもらい、これを分析することで研究を当初の計画通りに進めることができる見込みである。
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Causes of Carryover |
直接経費においては、研究初年度に購入する予定であった令和2年度採択・使用開始の小学校国語教科書が、令和元年度中には購入できないことが判明したため、その分の経費を繰り越しておく必要が生じたからである。(分析には編集委員として入手可能だった東京書籍教科書を使用) 間接経費においては、今年度の印刷経費が予想を下回ったことと、次年度に行う授業分析に伴って、印刷関係費(特にプリンタートナー費用)の必要額が膨らむ見込みが出てきたためである。
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