2020 Fiscal Year Research-status Report
書くことに関する「言葉による見方・考え方」とその指導法としての「文種換え」の研究
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19K02802
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
成田 雅樹 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (50361217)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文種換え / 言葉による見方・考え方 / 書くことの学習方略 / 書くことの資質・能力 / 自覚知化 / 深い学び |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目の計画は、附属小学校等の先生方の協力を得て文種換えの授業分析をすることであった。具体的には、単元や単位時間の始め及び終末における省察の方法を解明する ために、検証授業を分析して省察の適切な時期と効果的な方法を解明することであった。附属小学校では、平成31年度以降は「書くこと」について「言葉による見方・考え方」を明示した授業を行い、これを習得したり働かせたりするための省察について、適切な時期と効果的な方法を解明する計画であった。しかし、新型コロナウイルスの発生により学校への出入りを極力控える必要があり、授業実施をお願いできないこととなった。 そのため、本研究課題を構想していた平成28年度段階で協力していただいた、東京都の指導教諭の授業(指導案、学習シート、授業動画、児童作文等を入手)を分析することで替えることとした。この授業は小学校5年生を対象としたもので、「生活文」を「記事文」あるいは「意見文」に文種換えし、さらに「記事文」は「意見文」に、「意見文」は「記事文」に文種換えするという3時間の実践であった。 この実践の分析によって2年目の研究計画を遂行することができた。すなわち、児童が既習の文種(この実践の場合は生活文や記事文など意見文以外の文種)や書くこと学習を省察して「言葉による見方・考え方」を働かせている様子や、文種換えをする文種ごとの適切な学習時期(当該学年までの既習文種を基本としながらも未習の文種への書き換えも可能なこと)について把握することができた。また文種換えの学習を省察して、既習の文種についての「言葉による見方・考え方」を更新したり、新規に学習した文種(意見文)について新たなそれを獲得する様子について明らかにすることができた。 この研究成果は、『秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要』第43号に掲載することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの発生によって、協力の承諾を得ていた現場教員に授業を実施してもらうことはできなかったが、過去に研究協力をいただいていた他の授業の動画分析等を行い、研究計画で予定していた授業分析を行うことができた。またその結果を論文としてまとめることができたため、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響によっては、令和3年度も学校への出入りができない可能性がある。そのため、実践の分析については、文種換えに関する大学院の授業や現場教師の研修会で収集した資料を使うことを考えている。その中には、極めて実践的にプランニングされた高等学校の年間計画や、自らの文種換えの授業実践を分析した附属小学校教員の論文などもあり、本研究が最終年度に予定している成果を得ることができると考えている。それは、文種換えの実施に係る参考資料であり、文種換えに働くあるいは文種換えで得られる「言葉による見方・考え方」の具体である。
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Causes of Carryover |
研究2年目の経費として計上していたもののうち、主として旅費と物品費の一部を執行できなかったために、次年度使用額が「0」より大きくなっている。旅費については、予定していた学会が新型コロナウイルス感染防止のためにZOOM等の遠隔手段での開催になったり、各種授業研究会が中止になったりしたために支出することができなかった。また物品費の一部では、やはり授業研究会の中止等によって授業記録用の機器を使う機会がなくなり、同時にデータ整理の作業に対する謝金を支出する必要もなくなってしまった。 以上の理由によって生じた経費は、研究計画の3年目に必要な分を支出するとともに、購入を予定していた物品のグレードを上げたり、数量を増やしたり、故障などによって急遽必要となる可能性のあるパソコンやプリンター等の費用に充てることを考えている。
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Research Products
(1 results)