2019 Fiscal Year Research-status Report
教員養成における音楽授業プログラムの国際比較研究:領域横断的な視点から
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19K02807
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
時得 紀子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (30242465)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 音楽授業 / 教員養成 / 領域横断 |
Outline of Annual Research Achievements |
他者と協働しながら新たな価値を創造していく、資質・能力を育成する教育(コンピテンシー)を重視した音楽授業プログラムの構築を目指した。国際レヴェルでも、資質・能力育成を重視し、教科等横断的な視点を取り入れた学びへの転換が急速にはかられている。 こうした背景からも、研究初年度は、日本の教員養成における取組みのみならず、米国でのフィールド調査にも積極的に取組んだ。日本及び米国の調査では、特に教員養成における領域横断に視点をあてたプログラムの収集に特化した。その中から抽出した特徴ある授業モデルについて、独自に作成した評価項目を用いて、質的な分析を加えた。 国内外のフィールド調査を重ねた結果、日本、米国のそれぞれに領域横断を視点とした音楽授業プログラムが展開されていることが明らかとなった。主な例として、総合的な表現活動(ミュージカルの創作)、舞踊、視覚芸術(美術)、演劇、メディア芸術とコラボレートした表現など、いずれも学生が主体となって、新たな表現を創作する活動の展開が見られた。 当該年度におけるこれらの研究成果の一部を国際音楽教育学会アジア(澳門)大会にて口頭発表(英語)及び、日本音楽教育学会 全国(東京)大会にてポスター発表をした。また、日本と中国との教師教育に関わる国際学会においては、口頭発表(英語)並びに大会誌への投稿(英文 Full Paper) が査読を経て全文掲載された。 さらに、2020年度 国際音楽教育学会ヘルシンキ世界大会(新型コロナウィルス対策の為、8月の現地開催は無く、大会誌のみ出版される)への投稿が査読審査を経て、2編がいずれも採択を得て、全文掲載 (英文 Full Paper) される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際音楽教育学会アジア大会(8月)、日中教師教育にかかわる学会(11月)においての研究発表を契機として、領域横断に携わるアジア地域の研究者から、最新の情報を得ることができた。 日米の比較研究が現時点でおおむね順調であることを踏まえ、これら2つの国際学会で得た情報を契機として、次年度以降はアジアにおける音楽授業プログラムについても、研究対象に加えて考察を進めていきたいと考えている。 米国への調査研究は、2019年から2020年1月までにある程度進めることができていたため、(新型コロナウィルス対策の為)海外渡航が厳しくなる前に年度内の計画をおおむね遂行することができた。2020年2月以降の渡航はかなわなかったが、その時間を国内外のフィールド調査で得た資料分析に充当することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題である、音楽科における領域横断を視点とした授業プログラムの考察を進める過程において、「現在までの進捗状況」の理由にも記したように、新たにアジア地域の実践についても研究対象に加えて推進していく方策とする。 また、海外の授業実践等の情報収集の方法についても、オンラインを積極的に取り入れる方策に転向していきたい。この対応は、国内においても同様であり、オンラインを活用した現地からの授業映像の視聴、受講生へのアンケート調査等も現地の研究協力者のサポートを得ながら、感染対策に十分配慮しながら情報を収集し、研究を推進していく方策である。
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Causes of Carryover |
本年度は2月以降の海外フィールド調査について、コロナウィルス感染対策の為、実施ができず残額が生じた。 その一方で、アジアの一部地域を新たな調査研究の対象に含める計画に変更した。その為、これらの調査が加わることより、次年度使用額の新たな追加が見込まれる。 さらに、国際学会及び国内学会での成果発表、国内フィールド調査、情報収集のための各種セミナーへの参加費、旅費等にこれらの残額を使用する。
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