2019 Fiscal Year Research-status Report
教科の本質を問い汎用的スキルに迫る家庭科教員養成カリキュラムに関する研究
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19K02814
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 明子 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90220582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今川 真治 広島大学, 教育学研究科, 教授 (00211756)
正保 正惠 福山市立大学, 教育学部, 教授 (00249583)
平田 道憲 広島大学, 教育学研究科, 名誉教授 (30111660)
佐藤 ゆかり 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (40510813)
冨永 美穂子 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (50304382)
工藤 由貴子 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (50331468)
梶山 曜子 広島文化学園大学, 学芸学部, 講師 (50781259)
岡 陽子 佐賀大学, 学校教育学研究科, 教授 (60390580)
村上 かおり 広島大学, 教育学研究科, 教授 (80229955)
高田 宏 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (80403583)
松原 主典 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (90254565)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 家庭科 / 教員養成 / コンピテンシー / カリキュラム / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者の大学の家庭科教員養成に係るコースでは,教科教育と教科内容の架橋の可能性を検討するために,2011年度から教科内容担当者と教科教育担当者による検討会を定期的に重ね,両者による授業の場の共有及び附属学校教諭との連携も行ってきた。そこでは家庭科教員養成プログラムモデルの構築に向けて,学生及び教員の視点も併せて検討し教科教育と教科内容の協働性構築の歩を進めることができた。その中で背景学問としての家政学の意義を共通認識することが課題として明らかになった。また,学会や研修会を通して,本研究の意義と周辺課題を他大学の研究者と共有するに至り,本研究を着想した。 これまで科研メンバーは,家庭科教育学及び家政学の研究に関わり,家政学の理論研究と実践研究,教員養成における教科教育と教科内容のコラボ研究の成果を蓄積してきた。また,各専門科学研究の成果を家政学会で発信し,家庭科教育への示唆を検討している。さらに代表者の大学メンバーは,教員養成課程における教科観構築へのアプローチ,教科教育と教科内容の架橋の構想,教科の本質につながる教材開発等の研究を数年間協働して蓄積してきた。この他,教科教育担当者の指導による学生の模擬授業を,教科内容担当者が観察し助言,協議することを試み,その成果もみられている。一方,家庭科,社会科及び理科の3教科によって教科と内容の架橋の在り方を検討し,学問の論理と教育の論理を区別し,教科によって異なる連携の型を用いることの意義を示唆した。メンバーは,中等家庭科教員養成カリキュラムのコアとなるガイダンス授業の改善を重ねて4年目となる。現在,教科内容に係る科目を構造化する手がかりをこの科目の成果から得ようとしている。本研究は,教員養成における家庭科の教科観育成を目指す実践事例の検討からその課題に迫るものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① 家庭科教員養成カリキュラムの現状に係る情報収集と課題の再整理 2019年度には,代表者が関わっている日本家庭科教育学会第4次課題研究(家庭科教員養成に関する調査・実証研究)及び日本教育大学協会全国家庭科部門研究助成特別委員会の取り組み(家庭科教員の養成・採用・研修等に関する実態調査)により全国国立大学法人大学の情報収集を行った。成果は学会例会報告,学会発表にてまとめ,現在も分析中である。教育大学協会の成果は2020年度報告書として公開予定である。広島県の実態は,教育委員会及び広島県立高等学校家庭科教諭の協力を得て,家庭科教員の教科観等の一端を明らかにし,課題の再整理を行った。
② カリキュラム試案の構想と実践,分析・検証 ①の再整理に基づいて,各科目(5科目)の目標,内容,方法を検討し再構想するために,2019年10月シンポジウム(於:広島大学)を企画,開催した。また,2018年度から代表者大学メンバーで関わっている日本教科内容学会における教科内容構成の検討に基づいて,各内容学の科目を再構成し,2019年度入学生から,当該の新カリキュラムで授業を遂行しているところである。現在,当該授業の成果を授業者と受講学生の双方から評価する準備を進めている。さらに電磁的会議により,それらの成果を全員で共有,協議した上で各科目の授業の改善を図る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
教科の本質及び資質・能力と汎用的スキルとの関係,家政学の理論,家政学と家庭科教育の関係(特に教科内容との関係),教科教育と教科内容の架橋の課題など,背景理論と課題の整理を改めて行う。これらの取り組みは,2019年度から3年間継続して行う予定である。成果の検証方法は,学生自身による自己評価と教員による評価に基づいて,理解の程度や思考の深まりなどの変容を捉えることとし,改善試案の構想に反映させる。これらの取り組みも,2019年度から3年間継続して行う予定である。 最終年度には①②の成果をまとめて総括を行う。研究成果は日本家庭科教育学会及び国際家政学会などにおいて発表するとともに報告書を作成し全国の教員養成大学に発信する。
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Causes of Carryover |
2020年2月以降,コロナ禍の影響で,学会,資料収集など移動のために予定していた交通費の支出がなくなったため。オンライン会議などへの対応のため,パソコン一式を購入予定である。
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