2021 Fiscal Year Annual Research Report
「プログラミング的思考」と「アート的思考」を統合的に捉えた言語活動の研究
Project/Area Number |
19K02820
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
渡辺 哲男 立教大学, 文学部, 教授 (40440086)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山名 淳 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (80240050)
勢力 尚雅 日本大学, 理工学部, 教授 (80459859)
柴山 英樹 日本大学, 理工学部, 教授 (60439007)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 哲学する / 探究的な学び / ティンカリング / ブリコラージュ / 演劇 / 経験の貧困 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間全体を通して、「プログラミング的思考」と「アート的思考」を統合的に捉えた言語活動とはどのようなものかを探究し、昨年度までに、この問題を解き明かす切り口としての「演劇」にたどりついた。いまだ模索の段階であり、本格的な発表を行うまでには至っていないが、2021年度末に、『研究成果報告書』を作成・刊行し、関係する研究者や主要な大学図書館等に寄贈した。本報告書には、「プログラミング」という営為そのものは、レヴィ=ストロースの「ブリコラージュ」の側面があることを主張する論者を取り上げ、「プログラミング的思考」と「アート的思考」の二項図式自体を問い直そうとする論稿、夏目漱石やジャコメッティなど、多様なテクストを扱いながら、「アート的思考」は、彼らが不可解な現実を汎用的な言葉で表現しようとするときの違和感(経験の貧困)によって発動し、現実に応答するための表現の試作と遺棄を繰り返すのだと結論する論稿などが収録されている。これら収録された諸論稿の中で、部分的ではあるが、「演劇」に言及し、今後の研究の展開可能性も示している。 その他、本報告書には、2021年8月にオンラインで行った、森田伸子『哲学から〈てつがく〉へ!』の合評会の報告原稿のうち2篇を収録した。森田氏は、教室における子どもの言葉に耳を傾け、あるときは不明瞭、曖昧なその言葉の意味内実を問い、時に哲学の言葉に依拠することによって大人の言葉に〈翻訳〉し、私たち読者に届けてくれている。この〈翻訳〉の営みによって、読者は、子どもたちが「てつがく」しているということを知ることができるのである。この森田氏の営為そのものが、「アート的思考」の発動であるともいえ、今後の教育実践における「アート的思考」を考察するための手掛かりを得ることができた。
|
Remarks |
(本科研費の研究成果報告書)渡辺哲男、山名淳、久島玲、柴山英樹、勢力尚雅『「プログラミング的思考」と「アート的思考」を統合的に捉えた言語活動の研究 2019-2021年度科学研究費基盤研究(C)研究成果報告書』私家版、2022年、全85頁。
|
Research Products
(4 results)