2020 Fiscal Year Research-status Report
語彙力育成原理の認知科学的応用言語学的研究に基づく実践方法の開拓
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19K02823
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
塚田 泰彦 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (50163762)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 語彙知識 / 語彙力 / 語彙指導法 / 語彙学習方略 / 語彙意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度(1年目)に、申請者が1960頃~2000年までの語彙教育理論の内外の研究成果を総括した実績をベースに、その後の20年間の研究の進展状況を主要関連文献の収集・読解・分類作業によって再整理した。とくに「語彙知識」概念の多様性と指導上の困難点をめぐって、その最新の成果を「語彙知識の深さ、再考」と題して、第137回全国大学国語教育学会で研究発表した。 令和2年度は、この1年目の内外の研究成果の概括的な展望に基づいて、語彙教育理論の現在について「語彙教育をどう展望するか」と題して、第139回全国大学国語教育学会で研究発表を行った。語彙教育の原理面の実践面への展開の諸相を確認することが目的であった。この原理面と実践面で双方で確認した要件を踏まえて2年目に実施する予定であった複数校での実験授業実施計画は、新型コロナ感染症の拡大のために保留せざるを得なかった。このため、実験授業と調査内容の再検討を継続した。 語彙力育成の原理的側面に考察の中心を置いているが、とくに焦点を当てて検討しているのは「語彙学習方略」の活用法である。学習者の意識的・意欲的な学習方法の最新の研究成果を日本の国語科教育分野で実践的に応用するために、「カテゴリー」概念の拡張の視点から検討している点がオリジナルなところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
英語文献(単行図書)の一部入手不可のために語彙学習理論の原理面での情報収集に不十分なところはあるが、予定された主要著作の分析と内容の整理はすでに行われており、令和元年度に続き、令和2年度の原理面での研究の進捗状況に問題はない。ただ、こうした原理面での研究成果を実践的局面へと反映させた、令和2年度の主たる研究内容である複数校での実験授業や調査の実施が新型コロナ感染症のために実施できていない。このため、この非常事態が継続する場合も想定して、実験授業内容の見直しや調査用紙での実施など、研究計画案を再考している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度・令和2年度の語彙力育成原理にかかわる研究の知見をふまえて、令和3年度の早期に語彙知識の拡充過程の実態を調査する。とくに3つの語彙学習方略(「文脈の活用」「語構成要素の意識化」「定義の活用」)を視野に置いて、「カテゴリー」概念の認知意味論的枠組みを応用した、小学生の授業実践を通しての調査研究を実施する。この実証的なデータに基づいて語彙学習法の実践的展望を得る。調査対象校は全国の各所に分配して計画中であるが、新型コロナ感染症拡大の影響で、調査計画の変更や遅延が生じるかもしれない。当初の計画では、今年度が最終年度にあたり、一連の研究成果を学会等で発信し、国際的な研究交流も行う予定である。
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Causes of Carryover |
一部未入手の著作の購入によって生じた未使用分については、引き続き、相当額での購入(物品費)を継続する。令和2年度に予定した複数校での実験授業および調査のための旅費や学会出張のための経費の未使用分は、新型コロナ感染症による自粛要請等が令和3年度前半までに解除されれば計画通り執行予定である。
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Research Products
(3 results)