2022 Fiscal Year Research-status Report
語彙力育成原理の認知科学的応用言語学的研究に基づく実践方法の開拓
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19K02823
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
塚田 泰彦 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (50163762)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 語彙知識 / 語彙力 / 語彙指導法 / 語彙学習方略 / 語彙意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度(初年度)に実施した語彙教育理論の内外の研究成果の総括的整理に基づいて、令和2年度は「語彙知識」概念の多様性と指導上の問題点を明確化し、令和3年度は語彙教育の原理面の実践面への展開の諸相を3つの語彙学習方略に限定して再検討し、実践上の課題を特定するための予備調査を実施した(2021年7月、於千葉県柏市立風早北部小学校)。この調査は限定した3つの語彙学習方略(文脈活用方略・語構成要素意識化方略・定義/辞書活用方略)についてより厳密に実践への応用可能性を探索するためのものであるが、年度内には十分、詳細な分析は行えなかった。 本年度(令和4)はこの予備調査のデータ(児童の認知面での実態)を語彙学習に関する内外の原理的な研究成果によって精緻に分析する作業を主として実施した。その目的はより広範な視野で多くの地域と学年での本調査を実施するためのものである。しかし、年度内での本調査の実施と分析は、コロナ禍のために遅延している状況にある。 なお、本調査に向けての調査項目の再調整には、3つの方略のうち、「定義/辞書活用方略」を「定義法」として厳密に扱う方途を探ったところが要件となる。定義法は授業実践面での研究が先行研究で十分厳密に議論されてこなかったにもかかわらず「国語辞典の活用」として一般化した指導法となっている点で、問題の深刻さが曖昧なまま放置されており、本研究がオリジナルに研究開発する主要な成果と言える。加えて、本研究ではこの方略(定義法)を主要なもう一つの方略(文脈活用方略)との関連で原理的実践的な検討を行っている点も重要である。この「文脈」活用も漠然としかし頻繁に曖昧な指導実態があることからも精緻な議論が不可欠である。本年度はこの点での原理的な開拓のために、学習理論研究に関するハンドブックなどによる先行研究文献の検討も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
語彙習得理論に基づく語彙学習指導法の開発のための原理的研究は、先行研究の総括的整理が概ね終了しているが、児童の語彙学習の実態に即した実践面での課題や応用可能性の精緻な検討は、予備調査の分析としては実施済みであるが、本格的な原理的改善を踏まえての調査研究はコロナ禍による遅延によって、本年度は進んでいない。そのため、先の予備調査データの分析結果に基づいた原理面と応用可能性の面での精緻な検討を中心に研究を進めた。その成果は学会での発表や論文発表などによって公表してきた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3・4年度に実施した3つの語彙学習方略による語彙知識の拡充過程の原理面での精緻化と適正化による改善された実態調査を、当初の計画に即して複数の県・地域や学年で公立小・中学校の授業時間の提供を受けて実施する。研究経費はこのための旅費等に充てる。調査結果の公表は学会発表等によって行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により公立小中学校での調査の実施が予定通り行えなかったため、次年度に調査旅費等として使用する額を使用計画として計上した。
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Research Products
(3 results)