2022 Fiscal Year Annual Research Report
中核概念と対話スキルによる社会科ワークショップ型授業の多学年カリキュラム開発
Project/Area Number |
19K02831
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
江間 史明 山形大学, 大学院教育実践研究科, 教授 (20232978)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育学 / 社会科教育 / ワークショップ型授業 / 中核概念 / 対話スキル / カリキュラム / 多学年 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実績は、下記の2点である。 (1)小学校4学年で「循環」と「環境負荷」の中核概念と「熟考」の対話スキルを位置づけた単元を開発し、見方・考え方を働かせる単元デザインを明らかにできた。その内容は、査読付き論文にまとめた。単元の毎時間の子どものふり返り表現を検討し、単元終末において、子どもが中核概念を関係づけて自覚的に運用している表現を見出すことができた。その際、アメリカの社会科研究者のヒルダ・タバに示唆を受けて、単元構成において、2つの対比的な事例を位置づけ、判断理由のなかで中核概念を関係づけるような言明を学習者に求める方略が有効であることが明らかとなった。 (2)この研究成果については、理科の科学的リテラシーを研究する静岡大学の丹沢哲郎教授と研究協議を行った。理科の中核概念を位置づけたカリキュラムと比較することで、社会科の中核概念とカリキュラムについて示唆を得た。特に、単元内で中核概念を明示的に指導するタイミングについての課題が明らかとなった。 研究期間全体を通じての研究成果については、猪瀬武則日本体育大学名誉教授を招請して研究会を開催し、その成果を科研費報告集にまとめた。本研究の問いは2つあった。第一に、対話スキルを位置づけた社会科ワークショップ型授業に中核概念を明示的に組み合わせることで、学習者の思考を、概念を活用する水準に引き上げることである。この点は、ヒルダ・タバ社会科のカリキュラム開発論をもとに単元開発と子どもの思考表現を検証して明らかにできた。 第二に、それらの開発単元を多学年に配列することで、社会科に本質的な見方・考え方を学習者が洗練して身に付けていくことを明らかにすることである。この点は、いくつかの中核概念に基づく試論的なカリキュラム構想にとどまり十分な検証に至っていない。新型コロナウイルス感染症の制約もあったが、今後の課題としたい。
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Research Products
(3 results)