2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒストリー学習・メタヒストリー学習の有機的関連と段階的展開に基づく歴史実践教育
Project/Area Number |
19K02836
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
服部 一秀 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60238029)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | メタヒストリー / 歴史教育 / 歴史政策 / 小学校 / 中学校 / 高等学校 / 社会科 / 地理歴史科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒストリー学習とメタヒストリー学習の有機的関連、小学校から高等学校までの両学習の段階的展開について究明し、「歴史実践」教育としての歴史教育の可能性を明らかにすることである。後半パートの2021・2022年度では、初等中等教育段階における段階的展開の究明を行うこととしている。2021年度の主な成果として、次の3点があげられる。 第1は、中等教育段階の歴史授業において社会のなかの歴史に関する学習をどこまで進めることができるかを検討することである。歴史政策問題のヒストリー学習・メタヒストリー学習による歴史授業を類型化し、各類型の特質・意義や課題を明らかにし、論文「歴史政策問題のヒストリー学習/メタ・ヒストリー学習に基づく歴史授業-ドイツの諸事例を手がかりとして-」としてまとめた。 第2は、2020年度の研究発表(社会系教科教育学会第32回研究発表大会)を踏まえ、現行の小学校学習指導要領に基づく中学年社会科教育の脈絡において、ヒストリー学習とメタヒストリー学習を社会科開始学年(第3学年)で実際にどう関連づけてスタートさせることができるかを再検討することである。山梨県内の2名の小学校教諭と共同開発した単元「わたしたちの市の現在・過去・未来」の実践を検証し、共著論文「社会科開始学年におけるヒストリー学習・メタヒストリー学習の構成-小3「市の様子の移り変わり」をいかして-」をまとめた。 第3は、第1の成果と第2の成果を踏まえ、中等教育段階における社会のなかの歴史に関する新たな学習に向け、初等教育段階における歴史学習をどう段階的に展開させることができるかを検討することである。山梨県内の3名の小学校教諭の協力を得て、小3・小4・小6におけるヒストリー学習・メタヒストリー学習の重点課題の段階的設定をさぐり、その成果の一部を社会系教科教育学会第33回研究発表大会において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、外国出張が不可能となり、多様な先進的事例等の現地調査を行うことができなかった。入手可能な文献資料等によって調査を行ったけれども限界があり、必ずしも十分には考察を深めることができなかった。現時点では2022年度中における外国出張の可能性を見通せないが、代替的な調査手法を工夫するなどして適切に対応し、研究課題の考察を進めたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度においては、ドイツにおける教科書や授業などを調査分析し、初等教育段階から、前期中等教育段階、後期中等教育段階へのヒストリー学習・メタヒストリー学習の段階的展開の究明に取り組む。そのために小学校・中学校・高等学校の先生方の協力も得て考察を進めたいと考えている。なお、外国出張がかなわない場合は現実的に可能な調査手法を活用して適切に対応する予定である。
|
Causes of Carryover |
2021年度に予定していた外国出張による現地調査がコロナ禍により実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2021年度に実施できなかった外国出張を2022年度において実施する他、文献・資料やオンラインによる調査などの可能な手法によって調査を推進するために助成金を有効活用する計画である。
|
Research Products
(4 results)