2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on Teaching Figure paintings by Active Learning
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19K02838
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
松本 昭彦 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00190512)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アクティブ・ラーニング / 人物画 / 指導法 / キミ子方式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は4年間の実施計画であり、人物画の画像分析を通して、人物画のスタンダードについて知り、さらに、キミ子方式と呼ばれる絵画指導法を生かしつつ、主体的で深い学び(アクティブ・ラーニング)による人物画指導方法の開発を試みようとするものである。 研究計画に沿って、研究の1年目(令和元年度)には、韓国・アメリカへ渡航し、現地で人物画の画像データや、人物画やアクティブ・ラーニング関連の文献資料などを、美術館や教育機関などで入手することができた。 研究2年目となる令和2年度は、当初の研究計画では、イギリスやオランダなどで人物画像を収集することと、わが国や韓国でも人物画像の収集と分類を行うことのほか、パフォーマンス評価についての資料を収集する予定であった。しかし、新型コロナウィルスの世界的な拡大により、海外渡航をすることが全くできず、国内での調査や文献資料の読解にとどまった。幸いにも、訪問予定であったロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリーが所蔵する『KING & QUEEN展』が東京上野の森美術館で開催され、100点近い西洋の人物画像の収集と分析をすることができた。また、国内の複数名の肖像画家から、専門家の見地として、人物画を描くときに工夫していることがらや留意事項などについて聞き取り調査することができたほか、キミ子方式の本部事務所であるキミコ・プラン・ドゥにおいて、代表者から、キミ子方式の人物画題材と指導法に関して助言を得られたことなどが、令和2年度での研究実績と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
松本キミ子が『絵のかけない子は私の教師』『三原色の絵具箱』で提唱したキミ子方式という絵の描き方・教え方なら、たいていのものを誰もが写実的に描けるようになることは、これまでの研究から明らかになっている。しかし人物が題材の場合は、出来ばえに個人差が出やすく、誰もが簡単に描けるわけではないこともわかっているため、どのように学校現場で人物画指導をするかは、重要な課題であると言える。 現在までに、日本や韓国、アメリカでの画像データの収集はおおむね順調に進んでいるが、ヨーロッパでの画像収集が、コロナウィルス感染拡大の影響で海外渡航が難しいため、日本国内で見られるヨーロッパの美術館が所蔵する作品の展覧会を見たり、肖像人物画家やキミ子方式の代表者らと会い、専門的見地からの助言を受けるなど、国内でできる範囲の研究をすることで、全体の研究計画におおきな支障が出ないよう努めていることなどから「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度から心配していた世界的なコロナウィルス感染拡大により、現在でも海外での現地調査がいつ可能になるのか、予測が全くつかない状況にある。そのため、ヨーロッパの美術館での調査は、ひとまず後回しにして、アクティブ・ラーニングによる人物画指導法の開発に関する研究を優先して進めることとし、海外渡航ができる状態にまで落ち着いたときに、仮定した人物画のスタンダート(標準)を確認する目的での渡航調査もあり得ると考えられる。 そのため、画集やインターネット検索などで見ることのできる人物画像も調査の対象として人物画像の収集に努めるなど、研究計画の一部見直しをする必要があると思われる。 また、人物画のやさしい描き方や教え方についての考えを深めていくことが本研究には重要であることから、国内で、人物肖像画を専門とする画家たちや、キミ子方式に深い知識を持つ人物らからの助言を得るため、国内での感染状況等も確認しながら、県内外での調査を一層進めようと考えている。 さらに、国内外のアクティブ・ラーニングやパフォーマンス評価に関連する文献等の収集や読解、アジアの人物画像の収集などについても、可能な範囲で進めていく所存である。
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Causes of Carryover |
研究計画では、研究2年目にあたる2020年度に、ヨーロッパの美術館での人物画調査を予定していたが、新型コロナウィルスの感染が世界的に拡大し、とりわけ主たる研究資料収集を計画していたイギリスでは感染拡大が顕著であり、渡航することができなったため、使用額に差が生じた。 このため、研究計画を一部見直し、ヨーロッパでの資料収集は、渡航が可能になるまで延期することとし、研究3年目にあたる今年度は、キミ子方式を生かしたアクティブ・ラーニングによる人物画の指導法の開発に向けた研究を優先して行う予定である。本年度予算は、そのための研究に充当させる計画であり、関連図書や資料の分析に係るデータ入力のための人件費、その他、研究活動に必要な消耗物品当の購入などにあてる。
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