2020 Fiscal Year Research-status Report
SDGsの達成に向けた小学校での教科横断的な森林環境教育プログラムの開発
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19K02839
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
平山 大輔 三重大学, 教育学部, 教授 (00448755)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 森林環境教育 / 小学校 / 授業実践 / 気候緩和 / 二酸化炭素固定 / 教員研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、前年度考案し三重県松阪市内の小学校1校の3年生4クラスで実践した森林の気候緩和機能を学習する授業展開例について改善を加え、9月から10月にかけて同小学校5年生の授業で実践した。社会科で森林と人間生活の関わりを学習する5年生を対象としたことで、有意義な実践とすることができた。また、同小学校5年生を対象に、森林の二酸化炭素固定機能に関する授業実践を行った。これは、研究代表者が監修した三重県の森林環境教育の副読本に掲載されている体験型ワークを活用したものであり、樹木の幹周囲の長さと二酸化炭素固定量を対応させた早見表をもとに、児童自身が樹木の二酸化炭素固定量を求め、一年間の生活から排出される二酸化炭素量との比較を行うものである。この実践は、これまでに県の博物館等で実践してきたが、5年生の授業での実践は初めてであった。実践後のアンケート調査結果から、5年生の児童が森林機能の一つとしての二酸化炭素固定を学ぶ上でこの教材は有効であることを示すことができた。さらに、津市の社会教育施設において、地域の小学生を対象に作成した、身近な樹木やその生態および人間生活との関わりを体験的に学習できるウォークラリー形式の教材の実践を行い、これについてもアンケート調査で概ね良い評価を得ることができた。 一方で、行政と連携し、林業従事者等を対象としたみえ森林・林業アカデミーの講座、また、県の学校教職員対象の森林環境教育研修講座の講師を務める中で、上記の授業展開例等の紹介と実践を行うとともに、三重県の森林環境教育・木育のあり方検討会のメンバーとして、県の森林教育ビジョンの策定に携わった。 コロナ禍のため、SDGs先進地域での森林環境教育の視察については実施できなかったが、以上の通り、開発した授業展開例の学校現場での実践事例を積み重ねるとともに、行政との連携によりその普及等を推進することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため、SDGsの先進地域での森林環境教育の取組みに関する視察等については実施することができなかったが、昨年度に引き続き、小学校での森林環境教育の授業展開例の作成、教材開発、授業実践等に関して、学校および行政と良好な連携関係をもって当初の計画に沿った形で遂行できているため、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度には、昨年度に引き続き、まず、森林機能の授業展開例の実践および森林の生物多様性を学習する授業展開例の実践を行う。また、三重県内の学校教職員および林業従事者等を対象とした研修講座をそれぞれ実施する。さらに、それらのアンケートの回答等の結果を詳しく分析し、これまでの成果について学術論文等にまとめる計画である。行政とは引き続き緊密に連携し、2020年度に策定された三重県の森林教育ビジョンの実現に繋がるように研究を展開する。 また、コロナ禍のためにこれまで実施できなかった、SDGsの先進的な取組みを行っている地域での森林環境教育の視察を行う予定である。ただし、これについては、コロナ禍の状況を見極めながら関係機関との協議の上、慎重に判断する。この視察が不可能な状況であれば、上記の実践とその結果の分析、および、成果報告に集中する。
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