2019 Fiscal Year Research-status Report
日・韓におけるESDの視点を取り入れた道徳科教育プログラムの開発と検証
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19K02840
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
孫 美幸 文教大学, 国際学部, 准教授 (40755493)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本 / ESD / 道徳科 / 人権学習 / 平和学習 / 対話 / 内発性 / 身体知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、人権学習や平和学習のこれまでの研究蓄積の整理をしながら、日本における「ESD」と「道徳」の関係性について考察を深め、国内で2度、海外で1度の研究発表を行った。これまで筆者が進めてきた「包括的な平和教育」のモデルをホリスティックに展開することが「ESD」とつながる考え方であることを明らかにした。また、新自由主義経済政策に翻弄されない耐性のあるモデルを創っていく必要性について述べた。 そして、研究発表では、日本における道徳教科化の課題(政治性の問題、表面的な体験活動を乗り越えられないこと)を整理し、対話を通した学習の深化や、身体知を取り戻すことを通して表面的な学習を乗り越えていく可能性について述べた。 また、ESD実践校である中学校の教員や卒業生たちと情報交換を行うことができ、その中で出てきたキーワード「自己内対話」「熟成」「ESDの内発性」とともに、ESDからどのように道徳科授業を構成できるのか、その方向性について明らかにした。特に、道徳科では時間をかけて個人の「内的な持続」「内的な連関」「内なる世界への対抗重量」を豊かにする。「考え、議論する」内的な土台を作っていくことで、静的な学びの豊かさを創造することを提示した。それらの研究成果の一部について、教員と卒業生と共に実践研究発表を国内学会で1度行った。 その他にも、身体知との関連性から、これまで行ってきた民話研究の成果の一部を参照し、ESDとつながる思想、道徳科授業にも応用できる方法などを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
道徳やESDに関わる文献研究に留まらず、研究計画で次年度に予定していたESD実践校である中学校の教員たちと情報交換すること、ESDとの関連から総合的な学習の時間や道徳授業の方向性について考察を深めることが初年度にできた。
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Strategy for Future Research Activity |
韓国におけるESDと道徳の関係性に関して文献研究を中心に整理し、日本の場合との比較考察を行う。また、昨年度までにESD実践校の教員たちと共有したESDと道徳授業の方向性についてより明確にする。授業開発にあたり、鍵概念となる言葉や思想を手がかりにして、教員以外の地域実践協力者とも意見交換し、詳細のプログラム開発につなげていく。
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