2020 Fiscal Year Research-status Report
日・韓におけるESDの視点を取り入れた道徳科教育プログラムの開発と検証
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19K02840
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
孫 美幸 文教大学, 国際学部, 准教授 (40755493)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ESD / 道徳科 / 対話 / ポリフォニー(多声性) / 身体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでESD実践校の中学校の教員や卒業生たちと情報交換してきた中で出てきたキーワード「自己内対話」「熟成」「ESDの内発性」から、さらに具体的な道徳科授業実践を検討し、道徳科の授業を構成する上で必要な視点を整理した。授業を構成する上で、「会話と対話が織り成すポリフォニー(多声性)」と「開かれた身体性と言葉が響き合う感化」の視点が必須であることを明らかにした。これらの視点が、ESDで実現されるべき「深い変容」、実践に深まりをもたらす深化のプロセスに不可欠であることを述べた。 そして、ポリフォニーをより意識した教材や授業デザインの一例として、紛争解決や対立解決のためのステップを参照して複数の声から考えてみることや、人間以外の存在を大切にすること、自分の中のいくつもの声、作品や過去の自分など多様な他者との対話の記録をつけてみることを提示した。また、対話の前提となる教員の「身体をひらくこと」について竹内俊晴(1999)を参照しながら、教員自らが体感することの重要性についても述べた。 上記のような具体的な提案を、ESD実践校である中学校で招待講演という形で発表を行った。 また、「身体性」と「対話」、ホリスティックなケアという視点で、学校における道徳科教育とも関連のある体験活動を広く検討し、学会プロジェクトの公開研究会で発表、単著の一部としてまとめることができた。その他にも、ESDとつながる思想、地域の伝承知など、道徳科プログラムに応用できる内容について考察を深め、それらの一部を単著にまとめ、学会プロジェクトの公開研究会で発表も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響もあり、具体的な道徳科プログラム実践の検討とフィールド調査を行う機会が限られたため、授業を構成するのに必要な視点や教材の方向性までは検討できたが、具体的なプログラムや教材の開発にはまだ至っていない。また、韓国のESD実践や道徳科実践に関する検討も情報収集はできたが、詳細の検討は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで整理してきたESDの視点から構成する道徳科授業プログラムについて具体的な授業を想定した教材を考案していく。特に、ポリフォニーを意識したワークシート、自然やいのちの畏敬をテーマにした物語集の検討など、具体的な開発を試みる。それと同時に、これまで収集した韓国におけるESDと道徳科に関する論文や資料を検討し、開発中の教材に必要な視点を整理する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で全く行くことができなかった具体的なプログラム調査に関わるフィールドワーク旅費を次年度使用する。 8月~10月にかけて道徳科授業プログラムのテーマである、自然への畏敬の念に関わる発展的なプログラムを実施している方を数名訪ね、情報収集を行う。これまでまとめてきた方向性に合うようなプログラムの具体的内容について、このフィールド調査で得た内容を盛り込んでいく予定である。
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Research Products
(7 results)