2021 Fiscal Year Research-status Report
日・韓におけるESDの視点を取り入れた道徳科教育プログラムの開発と検証
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19K02840
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
孫 美幸 文教大学, 国際学部, 准教授 (40755493)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ESD / 道徳科 / ケア / 対話 / 身体性 / ライフヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに整理した中学校でのESD実践から得られたキーワードを手がかりに、現在の学習指導要領における道徳科の課題を乗り越える方向性を考察した。 現在の道徳科は、導入に到った経緯、政治性の問題を無視することができない。政治性という問題から、「考え、議論する道徳」は表面的な言葉の議論の枠を越えることができず、真の「主体的な深い学び」の実践へと発展させることは難しい。このような現状を踏まえ、コロナ後の未来へと結びつくESD実践とはどのようなものか、道徳科との関連から整理した。 そして、調査した中学校におけるESD実践の概略、特に2020年度に実施した3名の教員による家庭科と道徳科の3種類の授業を中心に、①ケアする/される、②会話と対話が織り成す時間・ポリフォニー(多声性)に耳をすます、③開かれた身体性と言葉を紡ぐこと・身体と言葉そのものが響き合う感化、④道徳の枠組みそのものを問うテーマ設定という4つのキーワードから考察し、上述してきた道徳科の課題を乗り越える可能性を探った。 考察の成果として、身近な草をテーマにした道徳科授業の具体的実践や「ライフヒストリーデザイン曼荼羅」という子どもから青年期版ワークシート事例を提案した。 上記の成果を、学会や教員研修会で発表し、論文としてまとめることができた。 また、持続可能な開発と地域の文化や学びという視点から、学校における道徳科授業とも関連のある授業実践やESDとつながる思想的背景について検討し、学会プロジェクトの公開研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響によるフィールド調査の遅れがあり、具体的な成果としてのワークシートや授業内容の検討について中核になるものはできたが、そこから派生する複数の具体的な事例を検討できていない。また、韓国のESD実践や道徳科授業の位置づけについて情報収集と整理はできつつあるが、日本の授業や教材に示唆できる点の検討が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで開発してきた中核となる授業内容と教材事例を核にして、さらに関連した事例を追加していく。それと同時に、これまで収集した韓国におけるESD実践や道徳科の視点で日本に示唆できる内容を整理し、開発中の教材内容に反映させる。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で調査に遅れが生じ、フィールド調査や関係者へのインタビューなどの旅費、最終年度で使用予定であった教材やワークシートなどのデザインや印刷費用を執行することができなかった。次年度は、全額予定通り執行できる予定である。
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