2019 Fiscal Year Research-status Report
グループ・キャリア・カウンセリング技法を用いた効果的なキャリア教育に関する研究
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19K02842
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
渡部 昌平 秋田県立大学, 総合科学教育研究センター, 准教授 (90610874)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グループ / ファシリテーター / 相互独立性 / 相互協調性 / キャリア教育 / 教員 |
Outline of Annual Research Achievements |
教員および学生にグループカウンセリングの知見を提供することで、グループカウンセリングの理解により児童生徒あるいは学生が「集団活動でより良い行動が取れる」「人間関係により良い関係が生じる」「個人の積極性ややる気が上がる」ことの理解が進んだが、教員に比べ学生ではその効果が低かった。 また日本人の低い相互独立性と高い相互協調性に配慮したグループ活動(自己主張の勧奨と半強制的な役割・責任分担)を学生対象に実施し、学生から「もう少し自分の意見を持つようにしようと思うようになった。みんなと話すときに意見があまり言えなかったから」「頭で考えてまとめてから話すようになった。まとめてからではないと伝わらなかったから」「沈黙が少なくなった。話の話題を見つけるために人の話をよく聞くようになったから質問とかができるようになった」等の感想を得た。 さらにグループワークを活性化する教員の働きかけとして「学生がやって面白いと思えるグループ活動をする」「席指定・席替えなど「普段と違うメンバー」と組ませる」「簡単なグループワークから開始して,少しずつ難しいグループワークに入る(いきなり難しいワークはしない)」「グループの人数を4人程度の少人数までおさえる」などの働きかけを抽出した。 そのほか教職科目受講学生にグループ活動を実施し、「初対面の人といきなり会話をするのは難しいが、自己紹介やミニゲームを行うことで会話しやすい雰囲気が作られる」「一つの目標に向かうことで一時的ではあるが大人数の心が一つになり、会話が生まれる」「互いが互いを知ろうとするなどプラスな気持ちで臨めば、自然とグループ全体の雰囲気が良くなる」「先生の側でクラスの雰囲気作りをすることは重要なことであり、効果的なことであることも分かった」「クラスの生徒たちのことをよく知り、グループ外の人との交流ができるイベントをすることも大切」等の感想を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小中高教員からの詳細な情報収集と意見交換は2019年度には出来ていないが、「研究実績の概要」のとおり一般学生および教職科目受講学生に対するグループ活動の結果からファシリテーター(教員)が意識すべき振る舞いやグループ活動の効果を理解させる方法を概ね把握することができ、今後の研究成果をまとめる見通しを建てることができているため(今後の方針については「今後の研究の推進方策」参照)。 現在のキャリア教育では「個人のやりたいこと」の理解・実現を中心に実施が検討・計画されている印象があるが、個人のやりたいことの中には「誰かを喜ばせたい」「社会に貢献したい」など他者と関係している「やりたいこと」もあり、また周囲に受け入れられなければ個人のやりたいことができないこともあり、2020年度以降は「個人のやりたいことと、周囲との関係性の摺り合わせ」をグループ活動を通じて伝える方法についても検討していきたいと考えている。 現在のところ外部への研究の公開は学会発表1本に過ぎないが、「研究実績の概要」のとおり調査・研究は着実に進んでおり、2020年度には学会発表3本を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究のほか学生等から得られた情報を踏まえて教員向け研修の内容・方法を精査し、2020年度中に実施・評価を行う。評価を踏まえて研修内容・方法を「個人のやりたいこと」視点だけでなく「周囲との関係性」視点を含めたものにさらに改善し、2021年に実施するほか実際の教育現場での実施可否や効果・課題についてヒアリング等を行い、研究の総括を行う。 並行して逐次学会発表等を行い、研究者・実践家等との情報・意見交換を行う。
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Causes of Carryover |
小中高訪問を翌年度以降に回したこと、データ入力等を全て自ら行ったことから人件費・謝金を使わずに済み、その分を学会参加の旅費等に回したため。
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