2020 Fiscal Year Research-status Report
新学習指導要領を具現化する小学校書写指導 -ICTを活用した指導法の研究-
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19K02852
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
岡田 充弘 中村学園大学, 教育学部, 准教授 (30758313)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小学校書写小学校書写 / ICT教育 / 小学校国語科 / 書写指導 / 授業デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「整った字を書くための原理・原則の獲得」のために、書写指導支援ソフト「教科書AR」を取り入れた授業をデザインし、授業者と学習者への効果の検証を目的としている。本研究では次の2点を明らかにする。 ① 書写指導支援ソフトを用いた効果の検証:毛筆書写の授業の際、学級の全児童に「教科書AR」をインストールしたタブレットを与え、動画視聴と指でなぞる活動を仕組む。学習後、タブレットを用いない授業と比較して感想を集約する。 ② 書写指導支援ソフトを取り入れた授業デザイン:授業を行うためのプランニングシートを作成する。そして、検証授業を通してプランニングシートの改善を図り、タブレットを用いた書写指導の基本的な授業スタイルを構築し提案する。 ①については、コロナ禍による研究協力校への入校制限、学習時間の保障、感染防止のためのタブレットの共有不可の理由から、1年間を通しての継続的な授業実践を行うことができなかった。令和元年度とは別の小学校で本研究に係る授業実践(第3・5学年)を1回ずつ行うことはできたが、令和元年度の検証校では本研究の継続的な検証が行えなかった。しかし、プランニングシートについては第3・5学年でそれぞれ1つずつ作成することができた。コロナ禍はまだ続いており、研究協力校にどの程度入ることができるかは見通しが立たない状況だが、可能な限り研究協力校に赴きたい。そして、次年度(令和3年度)は事例をさらに増やすとともに、検証校をさらに増やして調査を継続する。 ②については、授業後の感想について調査した。教師からは「授業準備の労力削減」「子どもの意欲の向上」「普段の書写の授業よりも子供の書字技能の向上が見られた」といった感想が聞かれた。児童からは「授業が楽しかった」「筆順や筆の動かし方がよく分かった」「お手本以外の字も上手になった気がする」といった感想が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による研究協力校への入校制限、授業進度優先の授業スタイルの選択、感染防止のためタブレットの共有不可等の理由から継続的な研究を行うことができなかったため。 ① 書写指導支援ソフトを用いた効果の検証については、予定通り2校目「宇美町立原田小学校」の研究協力を取り付け、第3・5学年で書写の授業を実施することができた。しかし、授業後に本研究に関する説明会を開催できなかったこと、授業参観を仕組めなかったこと、タブレット端末の共有が認められなかったこと、等の理由で学校全体での取り組みにつながらなかった。 ② 書写指導支援ソフトを取り入れた授業デザイン:第3学年と第5学年では、書写の授業をもとに、授業概要を示したプランニングシートを1単元ずつ作成することができた。また、授業動画の撮影、授業に用いた教具や学習具の保存もできた。しかし、学校の事情で第4学年と第6学年での授業実践が叶わなかったこと、令和元年度の協力校での継続的な授業実践が叶わなかったことで、研究2年目の計画である「研究協力校を2校に増やす」ことは達成できたものの「継続的に本研究の授業デザインによる授業実践」は達成できなかったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
①校長会で研究説明を行い協力依頼を行う。そして研究協力校をさらに増やし5校(宇美町全小学校)にする。 ②タブレットを追加購入して45台とする。また宇美町が児童1人1台持たせたChromebookでも実施可能な授業デザインへの改善を図る。 ③公開授業を行い検証を行うとともに、録画し、町内の教員への説明資料とする。 ④宇美町内全5校の小学校教員(代表教員)を対象とした提案授業を行い、研究3年目(最終年度)の研究対象校への研修会を催行する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために令和2年度は思うように研究活動ができなかった。「iPad42台以上」の条件を満たすことで、どの学級でも実証が可能になることをねらった。 本来、令和2年度は研究結果の中間報告を兼ねて学会(全国大学書写書道教育学会)での実践発表を計画していたが思うような研究活動ができずに報告が叶わなかったため、旅費等の必要がなかった。 コロナ禍の状況が改善次第すぐに研究を進め、令和3年度に研究成果をまとめその報告を行って行く所存であり、その際の費用に充てる。
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