2021 Fiscal Year Research-status Report
短期大学在学時の教育経験と学習成果を可視化する卒業生調査の開発
Project/Area Number |
19K02866
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
堺 完 大分大学, IRセンター, 講師 (10803330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 慎一 桜美林大学, グローバル・コミュニケーション学群, 准教授 (10636674)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卒業生調査 / 短期大学教育 / 教育成果の可視化 / 短期大学生調査 / 大学評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍により短期大学卒業生へのインタビュー調査が困難な中、2021年度は量的調査である卒業生調査結果を用いた経年比較や在学生向けの「短期大学生調査」類似設問部分の比較分析を実施した。 2021年度短期大学卒業生調査には50の短期大学が参加し、12136名に対して調査依頼を行った。その結果2340名(19.3%)の回答(率)を得られている。2021年度結果と2020年度結果と比較したところ、他学生や教職員との関係、学習満足度といった短期大学の総合評価については、回答した卒業生の8割以上が肯定的な評価を示し、前年度とほぼ同じような結果になっていた。また短期大学教育の成果を示す設問に関しても「他の人と協力する力」「専門分野や学科の知識」「一般的な教養」「コミュニケーション能力」の順で8割以上が役立っている(「ある程度役立った」+「役立った」)と回答し、その他の項目に関しても前年調査結果と目立った違いはみられなかった。 この他に在学生向けの「短期大学生調査」との類似設問比較分析では、短期大学生調査(2019年度)と卒業生調査(2020年度)の2調査に参加した21短期大学のうち、短期大学生調査(2019年度)を2年生の時に回答した2329名、卒業生調査(2020年)を社会人1年目で回答した625名のデータを用いて、同一調査回答者集団に限定した分析を行った。その結果、短期大学教育の満足度、学修成果を示す知識能力の役立ち(変化)の設問について、卒業後の方が在学時より肯定的な評価(平均点が高い傾向)が確認でき、卒後1年目の段階では短期大学における教育内容に対する評価が上がっている様子がうかがえた。卒業生調査の回答者が母校に良いイメージを持っている人など肯定的な評価をしやすい可能性もあるが、卒業生が感じている短期大学の教育効果はどのくらい継続するか、引き続き検証していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は量的アプローチである卒業生調査を継続的に実施しつつ、前年度から計画を変更した質的アプローチである短期大学卒業生に対してのインタビュー調査及び短期大学関係者への聞き取り調査を計画していたが、度重なる新型コロナウイルス感染拡大により参加協力が得られている短期大学及び卒業生が居住する地域への訪問調査の実施が叶わなくなり、再度順延することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は前年度実施できなかった短期大学卒業生へのインタビュー調査、その卒業生の出身校である短期大学の担当者への聞き取り調査を行う。2~3短期大学から各2名程度、対面による聞き取り調査2時間程度を予定している。インタビュー内容としては、就業経験を踏まえての短期大学教育の成果の実感についてや、在学時と卒業後での短期大学への評価、卒業後に気付いた短期大学教育の課題と就業後の支援ニーズなどである。卒業生への調査後に、インタビュー結果についての所感や教育改善等への活用可能性について、短期大学の担当者に別途聞き取り調査を実施する予定である。 量的アプローチである卒業生調査については、引き続き経年比較や卒後経過年数別の比較分析を行う。またこれらに加えて在学者を対象の短期大学調査と卒業生調査の類似設問比較分析も行いながら、2時点調査結果を可視化して短期大学教育への評価にどう活用できるかなど検証を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度に予定していた短期大学卒業生及び短期大学関係者へのインタビューが、新型コロナウイルス感染拡大により訪問調査することが困難となったため、当該年度での実施を見送った。それに伴い複数の短期大学への訪問費用としての旅費とインタビューに応じた卒業生への謝金として計上していた経費への支出もできなくなった。 これ以外に、研究成果の発表を予定していた学会のオンライン開催により、大会開催地への旅費、大会参加費としての費用についても支出できなくなった。 当該年度の差額分については、2022年度内に国内での学会発表や訪問調査が可能となった場合、その費用として使用することを計画している。
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