2020 Fiscal Year Research-status Report
Preventing victimization among female students: Promotion of suitable and acceptable education programs for the lifestyles of youths
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19K02877
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
齊藤 知範 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 主任研究官 (10392268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 由子 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 研究員 (80721175)
荒井 崇史 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50626885)
中迫 由実 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (30464275)
仲野 由佳理 日本大学, 文理学部, 研究員 (90764829)
松川 杏寧 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 災害過程研究部門, 特別研究員 (70727122)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 犯罪被害予防 / 若年女性 / 高等教育 / 防犯教室 / ナラティブ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高等教育機関等に在学する女性の多様なライフスタイルに適する形で安全確保を実現するために、学際的共同研究を通じて、実証的な知見、実践的な知見を得ることを目的としている。 本年度は、本研究の2年目である。代表者、分担者、研究協力先との間で、メールや電話等を通じた打ち合わせを行いながら、以下を中心に実施した。 1年目に、研究協力先(千葉県警)の協力を得て防犯教室の受講前と受講後の量的調査を実施しておりこのデータを入力した。分析結果にもとづき、防犯教室の受講により防犯行動の実行意図が高まったこと、受講者の中でも23歳から27歳の年齢層で危険認識の変化量が大きいことを学会報告した。さらに、防犯教室調査の結果の概要や防犯教育の効果を高める方策を代表者(齊藤)が総説で紹介した。また、防犯の情報発信や働きかけの基礎となる心理学理論、防犯・防災分野に共通するリスクリテラシーを分担者(荒井,松川)が総説で紹介した。一方、1年目に引き続き、犯罪対策を講じる上での基礎となる犯罪等の行為者に関する先行研究における学説や実証的知見を整理する総説を執筆した。 1年目に実施した大学生等に対するインタビューやヒアリング等の既収集データの質的分析を継続するとともに、質的分析の当初計画を当面の間は文献研究に切り替えて研究を継続した。内外の文献研究を進めた結果から、防犯教育の場合に課題となるリスク認知に関しては、犯罪社会学、犯罪心理学や社会心理学分野で概ね共通した測定が行われており、リスク認知から犯罪不安への影響は共通して見られた。一方、リスク認知や犯罪不安が危険回避行動や防犯行動に与える影響については十分に研究されていないことを、各分野の専門領域で確認することができ、本課題で関心を寄せる課題であるため測定や検証の方法を継続的に討議した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
防犯教室の調査については、研究開始直後から千葉県警の協力を得て収集した調査票を、2年目の早い時期までにデータ整理、入力、点検を完了した上で学会発表と総説執筆を順次行っており、計画以上に進められた。 一方、1年目に、新型コロナウイルス感染症が生じる以前には一定のインタビュー等を実施することができ分析も進められたものの、それ以降と2年目は感染拡大の実状もふまえ、調査対象者に対する倫理的配慮の観点から当初想定していた対面型のインタビューは実施していない。このため、2年目は既収集データの質的分析を継続するとともに、質的分析の当初計画を当面の間は文献研究に切り替えて研究を継続しており、Web調査等を通じたテキスト記述データの収集、オンラインのインタビュー、公表されているテキストや語りのデータの分析等の代替策を講じることも含めて、量的研究の分担者も交えながら、検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
防犯教室の調査では、調査項目の内容を事前事後の変化に特化して分量を精選している。このため、防犯教室の調査とは別に、リスク認知や犯罪不安が危険回避行動や防犯行動に与える影響の検証を目的とし、インターネット調査会社のモニター登録者に対するWeb調査、または大阪府警等を通じた大学等在学者に対する調査の実施を並行して模索し,いずれかの形で、女子学生等のリスク認知と防犯行動に関する調査や実験を実施する。 一方,防犯教室の調査については、受講日の事前事後の調査のデータ分析を2年目までに実施済みである。受講日以降の追跡調査等の設計や統制群について拡張する検討をすでに終えており、今後は、関係機関の協力や防犯教室の時期・回数等に応じて、防犯教室の調査の拡張を模索する。 質的分析については既収集データの質的分析を継続するとともに、文献研究に切り替えて進めている研究と討議を継続して行う。また、質的分析のための追加データ収集を行う場合には、対面型のインタビューに代替する方法として、Web調査等を通じたテキスト記述データの収集、オンラインのインタビュー、公表されているテキストや語りのデータの分析等の代替策を講じることも含めて、2年目に討議を行っており、質的分析に資する方法で、残りの研究期間内において円滑に実施を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は、防犯教室に関する量的調査のデータの入力、そのデータを分析した結果の成果発表が進んだが、防犯教室に関する受講日以降の追跡調査等の設計や統制群について拡張する形で調査収集が進む場合は、縦断データセット作成のためのデータ入力とデータ整理を次年度に行う必要がある。このため、防犯教室の拡張調査のためのデータ入力とデータ整理に要する費用を次年度に向けて充当する。 さらに、次年度は、女子学生等のリスク認知と防犯行動に関する調査や実験の委託費用、防犯教材のための委託費用、成果発表のための学会参加費、投稿料、掲載料、英文校閲等の費用、情報収集や成果発表のための旅費に使用する。 また、本年度進めた文献研究については、量的分析の分担者、質的分析の分担者を交えて次年度も継続して幅広く行う必要がある。このため、文献・資料収集と書誌入力、データ整理等の研究補助者に要する費用を次年度に適宜使用する。
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Research Products
(8 results)