2022 Fiscal Year Research-status Report
被災地での学びを地域や世代を超えて伝える災害伝承・防災教育システムの開発
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19K02879
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
邑本 俊亮 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (80212257)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 防災教育 / 震災伝承 / 授業デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は、被災地での学びを世代を超えて伝える防災教育システムの開発である。本年度は、sobolabという学生団体の活動を調査対象とした。sobolabは、2022年4月に子どもたちを対象とした宇宙と防災に関するイベントを開催する計画を立て始めた。その後、WEB会議を重ねて、2023年3月5日に宮城県内の親子を対象とする「宇宙×防災でわくわくする世界を」というイベントを東北大学で開催するに至った。イベントには18組44名の申し込みがあり、内容的に非常に好評であった。そこで、企画から開催まで、sobolabメンバー内でどのようなことが話し合われ、メンバーにどのような思考の変遷があったかを調べることを目的として、会議の議事録、およびメンバー5名から企画開始から開催・終了に至るまでの振り返りデータ(時系列で思考過程を報告してもらうレポート)を取得した。また、当日のイベントを記録し、新規で独創的な防災教育プログラム事例を蓄積することができた。次年度は、これらのデータに基づいて、学生たちの活動と思考のプロセスを可視化することを試みる。 一方で、専門家による防災出前授業の教育効果についても研究を進めた。2021年に行った「沿岸部の小学校と内陸部の小学校の比較研究」を精緻化するために、対象となった小学校を県別に分けて詳細な分析を行った。また、静岡県の3つの中学校で実施された出前防災授業の教育効果の検証も行った。これらの研究成果は次年度に発表する予定である。 さらに、本研究の初年度(2019年度)に、研究対象となった学生たちが学び、彼らが企画・実践した防災出前授業にも組み込んだ内容「避難を呼びかけるコミュニケーション」に関して、著書の1節にまとめ、刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな防災教育イベント事例を蓄積することができたとともに、それをどのようなプロセスで開催に至ったのかについての詳細なデータを取得できた。また、専門家による防災教育実践の教育効果に関する検証も進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に開催した防災教育イベントの詳細な分析をするとともに、これまでに実施してきた教育プログラムとの比較検討をし、研究全体のまとめを行う。また、専門家による防災教育実践の教育効果に関して学会発表と論文化を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、学生による被災地での交流や学校へ出向いての実践が困難であったため、旅費・謝金の使用が少なかった。次年度は、蓄積された授業事例やイベント事例を評価するための資料収集、専門家による防災教育実践への同行・観察、研究成果発表等のために旅費を使用する。
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