2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of methods to support the promotion of university brand products centering on strategic trademark applications and contract forms
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19K02887
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
八神 寿徳 三重大学, 地域イノベーション推進機構, 准教授 (10402554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 一徳 三重大学, 地域イノベーション推進機構, 助教 (60821460)
中川 勝吾 愛媛大学, 知的財産センター, 准教授 (90541475)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 産学連携 / 地域連携 / 大学 / 商標 / 類似群コード / 大学名称・ロゴ / 大学ブランド商品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的である「戦略的な商標出願と契約形態を軸にした社会的・経済的に価値ある大学ブランド商品の展開を支援する手法の開発」に関して、2019年度は、当該開発に必要となる次の①・②に示す調査・分析を進めた。 ①「産学連携成果に基づいた大学ブランド商品を創出している代表的な大学において実施している「契約形態・内容」の調査」。調査対象として、全国の大学から、特徴的な取組みをしている大学を選定し、2019年度は3つの国公立大学、1つの私立大学に対してヒアリング調査を行った。 ②「全国の各大学が保有している商標登録内容の調査および分析」。全国の大学を対象として、保有している登録商標を特許庁のデータベースを用いて調査し、大学毎に保有している登録商標の数、各登録商標の類似群コードに着目して分析を行った。分析の結果、保有している登録商標の件数の順位と、類似群コードの数の順位では、傾向が異なることがわかった。さらに類似群コードを用いた分析フレームワークを考案した。当該フレームワークは、「商標の態様」と「業務」の組合せによって4つのカテゴリー(「大学名称商標・大学業務」、「大学名称商標・非大学業務」、「非大学名称商標・大学業務」、「非大学名称商標・非大学業務」)に分類し、それぞれのカテゴリーに類似群コード数またはその割合を入れるものである。これにより、各大学における商標出願の傾向・特徴や、取得している商標の範囲の広さ(類似群コードの数)を簡単かつ明瞭に把握することができるようになった。商標出願の傾向・特徴が把握できたことから、保有している登録商標の数が多い上位15大学に対してヒアリングを順次実施した。2019年度は、4つの国公立大学、3つの私立大学にヒアリング調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開始後、申請時には予想できなかった下記2点が生じたが、対策を講じ、本研究を進めている。 ・本研究開始直後の2019年5月17日に公布、同月27日に施行となった「特許法等の一部を改正する法律」の商標法改正により、公益団体等を表示する著名な商標に関する商標権について、通常使用権の許諾が可能となった。従来は当該許諾ができないという法律的な制限へ対応するために、各大学は自己のロゴや名称等を第三者へ使用許可することについて実務的な対応方法および契約方法を独自に考えて対応していた。同法律改正により、本研究の申請に記載していた内容とは異なる課題が大学に新たに生じてきた。それは、許諾しようとする場合は、大学側(ライセンサー)は許諾の根拠となる商標権に関して、対象の指定商品・サービス区分を取得していることが必要となることである。今後、大学は商標の出願方法を、実際に許諾が生じることを視野に入れたものにすることが一層必要となる。しかし、許諾可能になったとはいえ、許諾する対象商品・サービスの商標区分を1つ1つ取得していたのではコスト増になり、不実施機関である大学がそれら商標権の維持費をどう賄うのかも新たな課題になる。以上について、本研究の目的を達成することを維持しながら、ヒアリング調査の質問内容を法改正後の新たな課題に対応する形へと改変し研究を進めている。 ・新型コロナウイルス感染拡大防止の影響により、2020年2月末以降、予定していた各大学への訪問調査を軒並み中止とせざるを得なくなった。メール等での調査方法もあるが、調査内容が契約方法や大学の方針等、秘密情報を扱うことがあることや大学の運営方針や背景は聞き取り調査で漸く掴めるものであることから、直接の面談でヒアリング調査を進めることが本研究目的達成のために必須であると考えている。これについてはWeb会議システムでのヒアリング調査も検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、調査方法については、新型コロナウイルスの影響が長引く可能性も考慮し、Web会議システムでのヒアリング調査を今後検討していく。 ヒアリング調査については、上記①については、大学ブランド商品等の産学連携を通じた成果による商品のプロモーションに関して特徴的な活動をしている大学を選定し、引き続きヒアリング調査を実施する。上記②については、保有している登録商標の数が多い上位15大学に対してヒアリングを順次実施し、各大学の商標出願の特徴およびその理由について調査するとともに、各大学における商標出願に関する方針についても調査をする。これにより、大学の商標出願方法と、大学の活動方針の関係性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止の影響により、2020年2月末以降、予定していた各大学への訪問調査を軒並み中止とせざるを得なくなり、予定した旅費の一部の執行が難しくなったため。2020年度、新型コロナウイルスが落ち着いた後に、訪問調査の旅費に充てることで予定しているが、新型コロナウイルスの影響が長引く可能性もあるため、ヒアリング調査方法をWeb会議システムに切り替え、同システム導入のための予算に充てることも計画している。
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Research Products
(2 results)