2020 Fiscal Year Research-status Report
職業専門学科等の教育における汎用的能力の意義:ケンブリッジ大学の事例から
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19K02893
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
福石 賢一 高知工科大学, 共通教育教室, 教授 (60294485)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 汎用的能力 / 専門知 / 工学 / ケンブリッジ大学 / 歴史 / カリキュラム / 進路 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題2年目となる本年度は主に以下の2点に関して調査研究を行った。 第一はケンブリッジ大学の工学教育全般に関するもので、学位コース、スタッフ、組織・制度、カリキュラム、学位試験等に関して、昨年に引き続き情報の整理を行った。 第二は『英国人名事典』(Oxford Dictionary of National Biography)に掲載された人物のうち二十世紀前半にケンブリッジ大学で工学を学んだ者(1881年~1920年に生まれた者。学位の取得を問わず)について分析を行った。その結果、以下の諸点が明らかになった。まずこの世代全体を通じて対象者のうち「技術者」として掲載された者の割合が5~6割ほどを占めることが確認できた。第二に、「技術者」として掲載された者のうち父親も技術者である者の割合が後の世代ほど高まることを確認した。第三に、ケンブリッジ大学で工学を学んだ者のうち工学優等学位の第1級(first class。最上級の成績)合格者は22-37%であり、それ以外の者でも技術職あるいは他の分野で活躍した人々が少なくなかったことが確認できた。一方で、このように「技術者」としての成功にとって優等学位又は同第1級合格が必須のものとは言えないものの、卒業時の成績と技術者としての成功、あるいは成功した分野との間には一定の相関関係があるように思われた。このことからは古典や数学のようにどんな職業にも役に立つという教養教育の発想との対比において、ケンブリッジ大学の工学コースあるいはその教育の意義を考える上で重要な示唆を得ることができたと考えている。 なおこの分析結果について学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスの世界的感染拡大の影響で、本研究における主たる手続きであるイギリスにおける一次史資料及び二次史資料の蒐集及びその内容の整理・分析が進められず、また国内調査もILL等一部の活動に制限されることとなり、当初の計画通りに研究を進めることができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ケンブリッジ大学工学優等学位コースの教育と卒業生に関する調査研究を併行して進めていく。当面は手元資料、ILL等により入手可能な資料、Web経由で利用可能な資料・情報を用いて調査研究を進めつつ、新型コロナウィルスに係る状況を見極めながら国内調査並びに海外調査を実施していきたい。
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Causes of Carryover |
海外資料調査及び国内資料調査を予定していたが、新型コロナウィルスの感染拡大により実施困難となったため。新型コロナウィルスに係る状況を見極めながら国内調査並びに海外調査を実施していきたい。
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Research Products
(1 results)