2019 Fiscal Year Research-status Report
離島の課題を高専ものづくりで解決するエンジニアリングデザイン教育の実現
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19K02900
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 司 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30300528)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エンジニアリングデザイン教育 / 離島問題 / 地域連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
エンジニアリングデザイン(ED)教育とはアクティブラーニング型技術者教育の根幹とも言え,課題設定力,計画性,チームワーク力など多くの能力開発に効果的である.申請者の所属する高等専門学校でもED教育の導入を推進し,高等専門学校が注力する地域連携型の教育プログラムを開発,実践してきた.地域が抱える課題に「ものづくり」や「「システム提案」を通じて解決を目指す演習授業の形態は技術者教育が目指す教育目的に適した教育方法であることが分かってきた. さらに進化したED教育実現のため,学科混成型のチームが能力を発揮できる「複合融合型の課題」,異なる専門分野を背景とする「学生間のコミュニケーション不足の解消」,学生にとって関心が持続する「地域連携型活動」の要素を含んだプログラムを開発中である.その方針を実行するため,高齢者の割合が高く且つ自然環境の厳しい「離島」の中での活動とし、合宿活動を経ながらED教育を実施する計画を立てた. 高専専攻科1年生を対象にしたED教育プログラムを開発するため,予備実験とプログラム構築,カリキュラム実践,学修効果向上の検証を行う活動場所として山形県の離島(酒田市飛島)を選定.研究代表者および連携研究者は行政(観光課,離島振興課)との意見交換,地域コミニティ(自治会長)との意見交換を行ってきた.回収と処分の困難な漂着ごみ問題,高齢者には負担となる段差や坂道での危険個所の存在,豊かな自然や未利用バイオマス資源の利活用などに焦点を当てた.予備研究として,砂浜に分布する漂着ごみの回収機構の設定とメンテナンスフリー且つ運搬可能な構造の最適化を図った.他に,夜間の歩行時における危険防止につながる太陽光発電型の照明の設計と耐久化に向けた課題抽出,流木や間伐材の炭焼き条件の確立とその利用法調査,を行い学生が取り組むための指導計画を確立した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
山形県の離島(酒田市飛島)を活動場所として選定し活動を行うことが出来た.地域(自治体出先機関)との意見交換による島の現状と課題について調査した.予備研究として砂浜に分布する漂着ごみの回収機構の選定および評価,夜間の歩行時の危険防止につながる太陽光発電型の照明,流木や間伐材の炭焼き条件の確立,を行うことができ学生が取り組むための指導方針を確立した.離島という地理条件のため天候の悪化による定期船の欠航が度々生じたが,離島と同様な環境にある本土側の沿岸部でも予備調査を行い参考データを収集できた.
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Strategy for Future Research Activity |
専攻科学生に向けたED教育の実施のため立案した計画を実行に移す.専攻科カリキュラム「実践的デザイン工学実習」の中で与えられた90時間の授業時間での活動を行う.実施項目は①合宿に備えた事前準備,②合宿活動,③校内での製作活動,④プロポーザル実施および検証 である. 先ず,①合宿に備えた事前準備では,学科混成(機械・制御コース,電気電子・情報コース,応用化学コース)を行ったグループ編成を実施.1グループあたり4~5名のグループを約5グループ編成する.活動テーマの設定に当たっては離島の状況説明をスライドなどで説明,教員とグループによる討議を重ねて選定する.昨年度重点テーマとして定めた漂着ごみ回収機構の立案,メンテナンスの要らない夜間時の照明,流木や間伐材の炭焼きと利用を組み入れたものにする.②合宿活動ではグループ単位での行動を実施するが,島での活動が新型コロナウイルス感染防止上制限される場合には,離島の現状に近い環境にある本土のコミニティを利用して活動を行う.現地視察(1泊2日程度),および現地での製作活動(3泊4日程度)を予定する.技術士などの専門家によるアドバイスを入れながら実現可能なデザインを構築させる.合宿に先立ち,与えられた環境の中で予定を実施させるための準備や共有情報の確認指導を行う. ③校内での製作活動を引き続き行い制作物の作動確認や検証を行っていく.最後に,④市民向けのプロポーザルを実施し,学生たちがデザインした創作物が如何に現実性の高いものであるか否か検証させる機会を与える.
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