2020 Fiscal Year Research-status Report
離島の課題を高専ものづくりで解決するエンジニアリングデザイン教育の実現
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19K02900
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 司 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30300528)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エンジニアリングデザイン教育 / ものづくり / 地域貢献 |
Outline of Annual Research Achievements |
エンジニアリングデザイン(ED)教育とはアクティブラーニング型技術者教育の根幹とも言われ、課題設定力、計画性、創造性、チームワーク力などこれからの創造的社会を生き抜く上で必要な多くの能力を養成する教育手法である。申請者の所属する高等専門学校でもED教育を導入し、地域の課題に「ものづくり」で解決を目指す演習授業の形態として取り組んできた。そこで高齢者の割合が高く且つ自然環境の厳しい「離島」の中で合宿活動を経ながらED教育を行う、より高度化されたED教育の実現に向けて研究活動を行った。前年度まで、予備調査とプログラム設計を行ってきたことを受けて、今年度はプログラムの実践を行った。内容は、①合宿に備えた事前準備:学科混成による4~5名のグループを5班編成。出身分野(機械,電気電子,情報,化学・生物)を混成したグループ編成とした。テーマ選定として、離島の状況説明、グループ討議を重ねて選定、製作デザイン案の確定、設計、費用算出、活動計画の策定についてグループ単位で確認した。必要物品の確認、スケジュール確認、製作目標の明確化を都度指示した。 ②新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、離島での合宿活動は実施しなかったが、県内の合宿所で協力教員3名とともに実施(1泊2日)した。離島の環境問題や観光振興,漂着ごみ問題を解決するためのグループワークを行った。 ③校内での製作活動(継続)製作活動,中間報告を実施し、教員による進捗管理とサポートを継続した。 ④当初は自治体主催のイベントでの成果報告を予定したが,イベント自体が中止となったため動画を作成しイベント関係者に向けて活動成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、前期期間中,学生は校舎への立ち入りが禁止された.そのためプログラムを進めるための打ち合わせや指導が実施できずまた、合宿活動を予定していた離島(酒田市飛島)への渡島も制限されたため、合宿活動の計画を変更した。しかし、後期の開始とともに学生の活動が始まり、場所や期間を変更しながら合宿活動を行うことができた。グループワークおよび、離島の暮らしの課題とものづくりによる解決方法について議論することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
ED活動によって得られた製作物の客観的・俯瞰的評価、活動の安全性確認、合宿の管理体制、専門知識の活用状況についてより適切化を図る。ED教育の目標達成度向上を確認するために、目標設定の具体化、実現化するための工程表活用を積極的に行う。本科5年生の演習科目での実施に展開を図る。重点課題テーマを設定しより達成度が困難な課題に対して学生の取り組みを支援する。特に、(1)漂着ごみ問題や砂に埋もれたマイクロプラスチック等の破片ごみ回収技術の開発。(2)流木の再資源化としての炭化焼成および炭の化学的物理的特徴を調査、水質浄化や空気浄化、土壌改良など有効な応用につながる実験データを収集する。(3)高齢者に優しい危険防止機材の開発。居住集落を中心に危険個所を可視化したマッピング開発。掲示や看板の図案や形状をデザインする。小型太陽光パネルを利用した夜間照明や人感センサーによる局部照明装置などを考案する。(4)豊かな自然やバイオマス資源の活用技術。間伐材を原料にしたペレットストーブの設計、製作、ペレット製造方法の開発と燃焼エネルギーの評価。海水からの苦汁抽出と食品添加剤としての応用を考える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染防止のため学生の登校が禁止となり、予定していた制作活動が削減され物品購入は限定的なものとなった。次年度に向けて制作活動の内容を見直してより完成度の高い制作物を目指すために、購入物品の種類と量を最適化していく予定である。
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Research Products
(4 results)