2022 Fiscal Year Annual Research Report
健康障害児の自尊感情を支える教科指導プログラムの開発
Project/Area Number |
19K02907
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
八島 猛 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00590358)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 特別支援教育 / 自尊感情 / 教科指導プログラム / 健康障害児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は健康障害児の自尊感情を支える教科指導プログラムの開発を目指して,健康障害児に対する個別指導を行い,(1)学習内容の習得を促す教科指導の方法を明らかにすること,(2)教科指導が自尊感情に及ぼす影響を明らかにすること,(3)自尊感情を支える教科指導プログラムを作成して健康障害児に適用し,その効果を検証することであった。2022年度は小学2年生から高校2年生までの参加者4名を対象として,原則として1週間に1回,約60分間の個別指導を提供する「学習会」を全23回開催した。各参加者の参加回数は12~23回であり,平均参加率は80%であった。前年度までの検討結果を踏まえて,教科指導を通じ,目標の明確化とその達成に向けた遂行を促す支援を行った。また,教科指導の効果と教科指導が自尊感情に及ぼす影響を検討するために,学習内容の習得度,学習態度,自尊感情を評価した。その結果,指導期間を通じ,概して各参加者の学習活動は促され,習得度は向上していたことが示された。また,指導期間後の自尊感情が顕著に低下したものはいなかった。以上より,今回行われた教科指導は自尊感情を少なくとも低下させるものではなく,維持または向上に寄与するものと考えられた。補助事業期間における一連の検討に基づき,研究成果として次の2点が示唆された。第1に,教科学習に支援ニーズのある健康障害児の中には,標準化された諸検査において認知諸機能に偏りや弱みを示すものが存在する。そのため,学習内容の習得を促すためには,体調への配慮はもとより,認知機能の評価とそれに応じた学習支援が必要である。第2に目標の明確化と遂行促進に注目した教科指導は,健康障害児の学習態度を改善し,自尊感情の維持・向上に寄与し得る。
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Research Products
(3 results)
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[Book] 特別支援教育の探究2022
Author(s)
広岡 義之、林 泰成、貝塚 茂樹、大庭 重治
Total Pages
256
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
978-4-623-09431-8
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