2021 Fiscal Year Research-status Report
Research about the classroom for health-impairment children established by elementary and junior high schools
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19K02909
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小畑 文也 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20185664)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 病弱・身体虚弱特別支援学級 / 小中学校 / 病弱教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
21年度は「指導上の困難点」に焦点を当て、調査研究を行った。 これらの研究の分析はいずれもQDAを用い、共通して「子どもの病識の欠如」「健康児への同調願望」「保護者の要望と学校側の支援体制のズレ」「病院側と学校側の考えのズレ」が困難点としてあげられた。これは病院内に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級(院内学級)と、顕著に異なる点であり、健康児集団の中の病弱児というマイノリティの問題、通院による保護者の緊張感の欠如、そして前年度と同じく連携の困難が原因となっている。小・中学校内に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級は、①地域の病気療養児のニーズをくみ取ることができる。②復学支援において有用な役割を果たす可能性がある。③診療報酬制度により長期入院が減少した現在では、より現実的な選択肢の一つとなる。そして、現在では、④Covid19の感染拡大により、院内学級や特別支援学校(病弱)に通えなくなった(病院内に立ち入ることができなくなった)児童・生徒にとっても有用な選択肢となりうるものである。このように、「場」としての有効性は高いものの、それぞれの孤立により、十分な機能が果たせる段階ではない。しかし今回のCovid19の感染拡大により、教員をはじめ、一部児童・生徒、保護者もICTリテラシーが向上したと思われる。将来は、これを利用してのネットワーク化と、慢性疾患を主軸とした特別支援学校のセンター化が望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査を進めるとともに、2021年度は、特に教員の感じる「困難点」に着目し、論文1件「単著山梨県内の小・中学校に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級に関する研究ー児童・生徒の指導上の困難点を中心とした検討ー山梨大学教育学部紀要 山梨大学教育学部32, 33-38 2021/02/01」。発表1件「小中学校に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級について 児童・生徒の指導上の困難点を中心とした検討 第59回日本特殊教育学会学術集会 2021/09/10」と講演一件「小中学校に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級について 国立特別支援教育研究所 2022/3/14」を行い、途中経過を公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
丹羽(2017)は「対象となる子どもの治療方法、病状、医療機器の装着などが大きく変わってきており、病弱者・身体虚弱児が必要とする指導や支援の内容も著しく変わってきている」と述べている。さらには教育現場が多岐にわたっていることから、病弱教育の現場に特別支援に関する知識を十分に持たない教員が派遣されることも少なくない。つまり、教育的ニーズが幅広いのにもかかわらず、配置された教員がそれらのニーズに対応することに困難を感じるという現実がある。 今後の研究では、特別支援学校(病弱)、病院内に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級(以下院内学級とする)、小中学校内に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級の教員に質問紙調査を行い、それぞれの共通点や相違点を整理することで、病弱教育に携わる教員が教育するうえで感じる指導上の困難点や、求められる教員の資質を明らかにする。 これを通じて、小中学校に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級の教員に求められる資質を明らかにしていきたい。
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Research Products
(2 results)