2021 Fiscal Year Research-status Report
障害者の社会参加に関する研究ー障害者のための救急救命講習の教育プログラムの開発
Project/Area Number |
19K02910
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
田中 優司 愛知教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70377654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 生雅 愛知教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10262776)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 特別支援学校 / 障害のある児童生徒 / 救命講習 / 心肺蘇生法 / AED |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、障害者にとって効果的な救急救命講習の教育とは何かを明らかにすることであり、障害者のための救急救命講習プログラムを開発することである。今年度は、障害者向けの救急救命法の教育の取り組みの経験知の集約を目的に、全国の特別支援学校における救急救命講習の教育の取り組みについての調査をすすめた。 全国の特別支援学校(約1125校)で実施されている障害のある児童・生徒向けの救急救命法の教育の取り組みについて質問紙調査を実施し、解析をすすめた。回収率は49.5%であった。児童生徒向けの講習を実施している学校は22.0%であった。児童生徒向けの講習に際しての工夫としては、視覚障害においては拡大した手順書やモニターの準備、聴覚障害においては手話通訳の使用、字幕付きAEDの使用、文字情報による情報保証、音の振動の利用、生体反応の確認の仕方の工夫などが指摘された。教職員向けの講習は、年に1-3回の講習の開催によりほぼ全ての教職員が習得できるようにされていた。問題点としては、教職員数の多さから時間の取りにくさ、準備の大変さ、障害のある教職員の対応などが指摘された。AEDのユニバーサルデザインについての意見には、単体としては視覚的にもわかりやすいこと、聴覚障害のある方が使用できるもの、統一したデザインであること、暗いところでも使用できるものなどが指摘された。 今後は今回の調査における、児童生徒向けの講習に関する記述コメントと職員向けの講習に関する記述コメントについて、さらにAEDに関する記述コメントについての定量テキスト分析を行う予定である。この研究の推進により、障害者にとって効果的な救急救命講習の教育が明らかになり、障害者のための救急救命講習プログラムを開発することが可能になるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では全国の特別支援学校における救急救命講習の教育の取り組みの調査を実施する予定であり、これは現在、計画通りに進行し、解析をすすめた。次にこの調査を通じて先進的な取り組みを行っている特別支援学校の教育の取り組みを抽出し、二次調査として実地調査をする方針であった。しかしながら、2020年初頭から全国で流行している新型コロナウイルスへの感染対策のため、救急救命講習自体が開催されなくなったこと、また特別支援学校への訪問ができなくなっている状況から、実施が困難になっている。そのため、調査の記述テキストから計量テキスト分析を行い、重要点を抽出する研究調査をすすめる予定である。この結果を基に、経験知の集約から、障害者のための教育プログラムの原案の開発をすすめ、当初の研究目標を達成する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスへの感染対策のため、救急救命講習自体が開催されなくなったこと、また特別支援学校への訪問ができなくなっている状況から、次の計画の実施が困難になっている。調査の記述テキストから計量テキスト分析を行い、重要点を抽出する研究調査をすすめる予定である。この結果を基に経験知の集約から、障害者にとって効果的な救急救命講習の教育が明らかになり、障害者のための救急救命講習プログラムを開発することが可能になり、当初の研究目標を達成する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスへの感染対策のため、救急救命講習自体が開催されなくなったこと、また特別支援学校への訪問ができなくなっている状況から、研究の進行の遅れが生じている。そのため、調査の記述テキストから計量テキスト分析を行い、重要点を抽出する研究調査をすすめる予定である。次年度に、調査研究の分析とともに教育プログラム作成などの費用、成果をまとめ学会や論文で発表するための費用などに使用する予定である。
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