2020 Fiscal Year Research-status Report
発達障害のある子どもを含めすべての子どもを援助するチーム学校の校内委員会
Project/Area Number |
19K02912
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
家近 早苗 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (40439005)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 春樹 東京成徳大学, 応用心理学部, 准教授 (20750095)
石隈 利紀 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授 (50232278)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 校内委員会 / チーム援助 / コンサルテーション / コーディネーション / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウィルス感染に伴い、予定していた学校等への訪問調査ができなくなった。しかし、高知県の小学校4校、中学校2校については、研究代表者(家近早苗)・研究分担者(石隈利紀)が2020年7月、2021年2月の2回、各学校と教育委員会に対し、テレビ会議システムを使ったコンサルテーションを行った。また、2020年、6月、12月にアンケート調査を実施した。調査対象者は、佐川町内の教師81名(小学校48名、中学校31名)、児童生徒776名(中学生208名、小学生558名)であった。調査の内容は、教師に対しては、学校の校内委員会の機能、教師の意識の変化、学校の問題に対する当事者意識、心理教育的援助サービスの状況であった。また児童生徒に対しては、学校への適応状況と教師が行う心理教育的援助サービスの評価であった。これらの結果について2回のコンサルテーションで各学校にフィードバックし、学校の変化について教育委員会、管理職と検討した。対象とした学校のほとんどが良い方向で変化をしていたが、学校への適応状況については、特別支援学級に在籍する児童生徒の中に、適応がうまくいっていない児童生徒がいることが明らかになり、調査結果を活用しながら児童生徒への支援を進めることが確認できた。また茨城県取手市においても佐川町と同様の調査を教師381名(中学校132名、小学校249名)を対象に実施した。その結果については研究分担者(石隈利紀)が取手市教育委員会を訪問して説明した。以上の2市町については、2021年度も継続して調査を実施し、経年変化を比較検討することにしている。 上述の結果についてはThe 38th ISPA Conference キプロス大学で発表し、コーディネーション、コンサルテーションについての新しい知見と情報を収集する予定であったが、コロナウィルス感染症の影響により、次年度に延期することとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、2019年度に予定していた大阪府、神奈川県、東京都、高知県での校内委員会を通した好事例についての情報収集と検討をする計画であった。しかし依然としてコロナウィルス感染の影響があり、実施できたのは高知県の小中学校6校での調査であった。大阪府、神奈川県、東京都で先進的な校内委員会を実施している学校との調整については実施ができていないことから、進捗状況に遅れが生じた。しかし一方で、茨城県取手市での協力校を追加することができ、アンケート調査を実施できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度に調査を実施した高知県の小中学校6校と茨城県取手市の小中学校については、2021年度も引き続きコンサルテーションと、教師・児童生徒に対する調査を継続する予定である。また先進的な校内委員会の取り組みを進めている学校については、研究代表者(家近早苗)が、大阪府寝屋川市の中学校において校内委員会に継続的に参加しながら進める予定である。 2021年度の予定としては、大阪府、東京都の学校(予定各2校)での校内委員会へ参加し、SCらの参加する校内委員会の機能(相互コンサルテーション、連絡・調整、個別の援助チームの促進、マネジメントの促進)の観点から、チーム学校への促進・妨害要因の相互関係、校内委員会の機能が通常学級での援助に与える影響について検討し、チーム学校の効果についての要因を抽出し、調査項目を作成する予定である。特に2021年度は、校内の連携について「縦の連携と横の連携」に焦点を当て、尺度の開発を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染の拡大に伴い、2020年度の計画ではISPA大会への参加(キプロス)、学校心理学会大会(福岡)などが中止となる、旅費として充てていた費用を使用することができずなかった。そのため予定していた旅費を次年度へと繰り越すことになったため次年度使用額が生じた。これらの費用については、2021年度計画している学校訪問、学会への参加などによる発表、情報収集などに使用する計画である。
|