2023 Fiscal Year Research-status Report
発達障害のある子どもを含めすべての子どもを援助するチーム学校の校内委員会
Project/Area Number |
19K02912
|
Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
家近 早苗 東京福祉大学, 心理学部, 教授 (40439005)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 春樹 東京成徳大学, 応用心理学部, 准教授 (20750095)
石隈 利紀 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授 (50232278)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 校内委員会 / チーム学校 / 発達障害 / 教師とSC/SSWの連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度については、発達障害の子どものための校内委員会の機能、教師の問題意識、教師の心理教育的援助サービスと、管理職の校内委員会への参加に焦点をあてて、教師へのコンサルテーションを実施し、どのようなコンサルテーションが効果的であるかを検討することを計画していた。 高知県のA中学校の研究への協力を得ることができ、家近早苗(研究代表者)及び石隈利紀(研究分担者)が具体的な事例についてのアドバイスを含めたコンサルテーションを実施した。令和5年8月、令和6年2月、令和6年年3月の3回のコンサルテーションを通してデータを収集することができた。これらのコンサルテーションでは、家近・石隈(2022)による「チーム学校尺度」を使用して、学校内の援助サービスの状況について数値化してとらえることができ、継続して行うことで学校内の変化を具体的にとらえることができた。同時に生徒にも心理教育的援助サービス尺度と学校享受感尺度(古市・2004)を用いて、生徒の学校への適応についても具体的に数値としてとらえ、教師の援助サービスを確認しながら進めることができた。コンサルテーションの記録と、学校の心理教育的援助サービス状況について、1年間のデータを収集することができ、分析にとりかかることができた。学校の協力を得て、A中学校でのコンサルテーションについては、令和6年度も継続して実施してさらにデータを充実させる予定である。 また、前年度に訪問した米国の校長・副校長、特別支援教育の専門職等に対して実施した面接の内容は、日本のチーム学校における校内委員会の役割、特別支援教育コーディネーター及びスクールカウンセラーについて比較し、発達障害の子どもへの今後の支援について検討することができた。これらの内容については、現在、学校心理学研究に投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度については、高知県の中学校の協力を得ることができたこと、学校を訪問することが可能になったことにより、1年で3回の学校訪問・コンサルテーションを実施することができた。また学校の研究への同意を得ることができたため、データを逐語化することやデータ化することができ、最終的なまとめができるようになった。当初の計画よりはやや遅れているが、ほぼ順調に進めることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度については、令和5年度に実施したA中学校でのコンサルテーションを継続して行い、本研究の目的である発達障害のある子どもへの校内委員会を活用したコンサルテーションについて、A中学校を事例として、発達障害のある子どもへの支援について、コンサルテーションに焦点をあてて研究を進めていくこととする。 また、これまでの実践と調査の結果を統合するために、校内委員会、児童生徒の支援への事例に関するデータを整理し、まとめる予定である。得られた結果については、学会等での発表(第26回学校心理学会大会)、学会誌への投稿(学校心理学研究、学校心理士会年報など)を計画している。さらに、令和5年度は、台湾で行なわれた中華本土社會科學會 (Chinese Indigenous Social Science Association)の大会に参加して一部紹介することができたことから、令和6年11月には、同学会において、日本のスクールカウンセリングを含む現状についてシンポジウムでの発表を予定している。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の拡大により調査を実施する予定の学校を訪問することができない2年間の遅れがあることからデータ整理のための人件費などが使用できなかったことか次年度使用額が生じた。また、予定していた学会発表などができなくなったことなども挙げられる。特にヨーロッパにおける情勢の不安定さから、イタリアでのIAPA(Internatioal School Psychologists Association)2023大会については参加を見送り、台湾での中華本土社會科學會( Chinese Indigenous Social Science Association)に参加することとしたため、計画していた交通費、宿泊費などを使用することができなくなったことから、次年度使用額が生じた。 令和6年度は、これまでの研究成果については、日本学校心理学会第26回大会(2024年9月)、NASP(National Association of School Psychologists) 2024Annual Convention でのポスター発表を計画している。
|
Research Products
(4 results)