2019 Fiscal Year Research-status Report
医療的ケア児を支えるインクルーシブ教育システムの構造的基盤の解明と実践化の試み
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19K02913
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉利 宗久 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (60346111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一木 玲子 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20351174)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育 / 医療的ケア / 障害者権利条約 |
Outline of Annual Research Achievements |
国連においてインクルーシブ教育を標榜する障害者権利条約が採択され,わが国でも批准を迎えた。その理念の実現に向けた実践的課題の一つとして,多機関連携に基づく「医療的ケア」の提供が指摘され,学校における実施体制の整備が喫緊の課題となっている。すなわち,「医療的ケア」児に対する教育的支援を推進する上で,通常の学校のシステムが抱える構造的問題と実践的限界を捉え,究極的には慢性疾患患児等を含めた対応の仕組みを確立することが不可欠となっている。インクルーシブ教育システムへの転換期を迎えた日本において,通常の学校,病院,特別支援学校等が連携する切れ目のない学校システムの構築が求められており,その実現に向けた地域・学校レベルでの制度設計とそれに基づく実践化条件の解明が求められている。そこで、本研究は,わが国の教育資源を活用しながら,海外の経験に裏づけられた「医療的ケア」児のインクルーシブ教育システムを構築するための条件を明らかすることを試みる。具体的には、①諸外国においていかなる仕組みが定着し,その導入と運用の過程ではどのような問題が生じてきたのか。また,課題をどのような工夫により,克服してきたのか。②家庭を含む多機関連携において,わが国の現行システムにはどのような利点と課題が存在し,通常の学校が役割を果たす上で,いかなる実践的条件を必要とするのかの問いを設定した。初年度の取り組みとして、国連障害者権利委員会の日本政府報告に対する事前質問の策定作業に関する情報収集を行った。また、国内外での調査実施に向けた準備作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査の準備作業に大きな遅れはないものの、新型コロナ感染症の影響を受け、現地での実地調査、質問紙調査の実施がスムーズに実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
可能な範囲で計画を後ろ倒しにしながら、有意義な研究を展開しうるよう工夫を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響による調査、出張の延期のため次年度使用額が発生した。今後、時期を考慮して調査関連経費として執行する。
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Research Products
(3 results)