2020 Fiscal Year Research-status Report
Effects of portable projector prompt fading procedures on the daily living skills of students with intellectual disabilities
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19K02914
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大竹 喜久 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (00304288)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / ポータブルプロジェクター / 刺激外プロンプト / 特別な興味 |
Outline of Annual Research Achievements |
知的障害特別支援学校小学部5年に在籍する自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)のある男児1名を対象として、机拭き行動獲得におけるポータブルプロジェクター・プロンプトフェイディング(PPPF)技法による効果を検討した。従属変数として「机拭き課題の遂行」と「肯定的な表出」の2つを設定した。机拭き課題の遂行については、6等分された机上の6か所のうち,指導者による身体ガイダンスなく,対象児童が一人で指示された場所を拭くことができた回数(最小値は0,最大値は6)を指標として用いた。肯定的な表出については,机上の各エリアを拭いている間に「口角が上がる」「拍手する」「手のひらで机を何度もたたく」のいずれかの反応が一度でも観察されたエリア数(最小値は0,最大値は6)を指標として用いた。PPPFにおいては、対象児の興味の対象であるアンパンマンシリーズのキャラクターから、ばい菌や汚れ、あるいは吹き飛ばしたいものに関係するもの(バイキンマン、かびるんるん、ホラーマン)を選んでその動画を机に投影し、机拭きの動きに合わせて、キャラクターが吹き飛ばされるようにした。反応プロンプト(指差しや言葉かけ)を統一した上で、投影動画の代わりにペープサートを用いた条件、黒マーカーで汚れを示した条件、反応プロンプトのみの条件(ベースライン)と比較(条件交代法)した結果、机拭き課題の遂行については黒マーカー条件とほぼ同時期に最も早く基準に到達したが、肯定的な表出に関してはPPPFが最も頻度が高かった。それぞれの刺激外プロンプトを除去していったときに、どちらが行動を維持できるかについて調査することが今後の課題として残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2年間で3事例ほどポータブルプロジェクター・プロンプトフェイディングを用いた掃除行動指導の効果を確かめる予定であったが、1年目は対象児がベースラインの期間中に行動が改善されたために実験計画を実施することができなかった。2年目は対象児1名のみ介入実施までこぎつけることができたが、COVID-19の影響から介入除去期間を設けられずに年度末を迎えることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究協力者が職場移動となり、対象となる子供の発掘には時間がかかるかもしれない。また、COVID-19の影響が続く中、学校現場での実験を続けることは難しいかもしれない。そうした中、少しでも研究協力者を増やすために、より小型で操作が簡易なプロジェクター機種を選び、掃き掃除において床に投影しながら、手軽に子供に指導できるような方法を開発したい。その他、知的障害児や自閉症スペクトラム障害児の興味の対象を生かした指導についての文献レビューを行い、ポータブルプロジェクター・プロンプトフェイディングの意義について整理したいと考えている。
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Causes of Carryover |
信頼性測定については、協力校の意向により、ビデオ視聴を許可される人の範囲が限定されたため、当初予定していた学生への信頼性測定依頼ができなくなった。また、COVID-19により、実験データを十分に収集することができなかったため、学会発表ができなくなった。次年度は学会発表を行うことになるが、恐らくオンライン学会となるため旅費を必要とせず、当初予定していた予算の3分の1程度しか使用しないと思われる。
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