2020 Fiscal Year Research-status Report
授業のユニバーサルデザインの効果検証と実施プログラムの開発
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19K02916
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
菊池 哲平 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (70515460)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 授業のユニバーサルデザイン / 発達障害 / 合理的配慮 / 基礎的環境整備 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、授業のユニバーサルデザインに関する基礎研究及び実験研究を行ったが、予定していた実践的研究(実際の小学校等における授業のユニバーサルデザイン化を行った効果検証等)については、新型コロナウイルス感染拡大の影響からフィールド活動が制限されたために実施できなかった。そのため次年度以降に予定していた基礎的研究を前倒しして実施するなどの計画変更を行いながら研究を遂行している。 具体的には①教室環境のユニバーサルデザインに関する実験研究(特に音環境について)を行った。教室の反響音を抑えるために吸音材を設置した場合、ADHDなど注意集中に困難がある人の認知課題に関する影響が減少することが示唆された。②ユニバーサルデザインの視点から分かりやすい板書の構造化についての調査研究を行った。因子分析の結果、板書の構造化として「視覚的手がかりの活用」「板書ルールの明確化」「視認性の良さ」の3つがポイントであることが示唆された。③授業における話し合い活動を促す手立てをユニバーサルデザインの視点から整理するための調査研究を行った。因子分析の結果、「主体性を育む手立て」「不安を取り除く手立て」「ルール設定の手立て」「話し合い活動を慣熟させる手立て」の4因子が抽出され、これらの手立てに対する教師の取組は学年間で差異がみられることが明らかになった。 またコロナ禍におけるオンライン授業の取組について、授業のユニバーサルデザインの視点からの改善や発達障害のある児童生徒への支援など、本研究課題と密接に関係する新たなトピックが生じてきているため、本研究課題の知見との関連や、次年度以降の研究計画への反映なども計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大のため、予定していた学校現場等での実践研究については研究計画を変更せざるを得なかった。一方、当初は次年度以降に計画していた基礎的研究を前倒しで実施するなど、研究計画の進捗が遅れないように調整を行ったため、研究計画全体としては「やや遅れている」程度で済んでいると考えている。 またオンライン授業といった、コロナ禍における新しい授業の形についてもトピックとして生じてきており、次年度以降に本研究課題と関連する点について研究計画を再検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎的研究については順調に進捗しているものの、学校現場等のフィールドでの実践的研究については令和3年度も計画実施の見通しがつかないため、研究計画の見直しを検討している。具体的には、実践での実証を裏付けるエビデンスを収集するための基礎的実験研究や調査研究への変更、オンライン授業といった新しい授業形態を含めた、授業のユニバーサルデザイン化の効果検証などを予定している。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルスの影響により、学会等における資料収集や研究発表がオンラインにて実施されたため、旅費の計上がなかった。また学校現場におけるフィールド活動が制限されたため、人件費及び謝金等の支出もなかったため、使用計画に大幅な変更が生じている。未使用額については次年度以降の資料収集や研究発表、またフィールド活動が再開された場合の人件費等に充当する予定である。
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Research Products
(3 results)