2021 Fiscal Year Research-status Report
授業のユニバーサルデザインの効果検証と実施プログラムの開発
Project/Area Number |
19K02916
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
菊池 哲平 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (70515460)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 授業のユニバーサルデザイン / 発達障害 / 授業づくり / 学級経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
授業のユニバーサルデザインに対する学校教員の意識調査、およびユニバーサルデザインの視点を踏まえた学級経営の手立てとして集団随伴性を利用した児童への働きかけの実態について調査を行った。 授業のユニバーサルデザインに対する意識調査ではWEBにて教育関係者(小中高特別支援学校、幼稚園、保育園、学習塾等の教職員)7,000名を対象にアンケートを行っている。その結果、「授業のユニバーサルデザイン」の認知度は42%程度であり、イメージとして授業UDは特別支援教育に関連するものであること、また教員の負担増が懸念されることなどが示唆された。現在、小学校教員1,160名、中学校646名、高校710名など所属校別に分析を行っている。 また小学校教員250名を対象に実施した集団随伴性を用いた学級経営の手立てについては、クラス全体にルールや課題を提示して,クラス全体で課題等を基準以上クリアできていたら集団全員がご褒美をもらえる相互依存型集団随伴性による手立ての利用が多く、その傾向は低学年の方が強いことが示された。さらにそうした手立てを用いるか否かについては、教師の学級経営についての基本理念が大きく影響することが示された。 また教室の物理的環境のユニバーサルデザインとして、通常学級及び特別支援学級教室に吸音材を仮設し、吸音による感覚過敏児童及び難聴児童への影響について実証を行った。その結果、感覚過敏児童に対しては大きな変化がみられなかったが、難聴児童については補聴器を介した他児童の音声の聴き取りが改善するなどポジティブな効果が認められた。これらの結果は、R4年度において関連学会等で発表予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学校現場における実践研究が制限されている。そのため研究計画の修正を行う共に、最終年度(R4)における研究成果のまとめについても再検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
学校現場における実践研究についてはR4年度に可能な限り行う予定だが、研究計画を見直し基礎研究的なエビデンスを当初計画よりも増やす方向で計画している。それにより、理論的な背景を基盤とした学校現場で応用可能な手立てを概括できると考えている。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により学会等がオンライン開催となったことから旅費の計上がなかった。研究計画の修正により基礎的研究の実施計画を増やしたため実験等に用いるPCやカメラ等の購入に充て、残額が次年度使用額となった。次年度の学会発表等の旅費、データ分析及び研究成果のまとめに支出予定である。
|