2020 Fiscal Year Research-status Report
Psychophysiological study of sleep onset insomnia and intervention study for life rhythm improvement in autism spectrum disorders
Project/Area Number |
19K02918
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
平野 晋吾 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (90571654)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 睡眠構造 / 睡眠脳波 / 入眠状態 / アセスメント / 生活リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,自閉スペクトラム症(ASD)児者やその家族における代表的な愁訴の1つである入眠困難の特徴を発達臨床生理心理学的な視点から明らかにし,生活リズムの形成や改善のための個別支援計画立案に資するアセスメント法を開発することである。 2020年度においては,昨年度の参加者に対するフォローアップ(聞き取り調査)を行うとともに,ASDのある児童1名を対象とした生活リズムアセスメントを実施した。コロナ禍環境下におけるアセスメントやインタビューは,参加者本人はもとより,小学校の教員や保護者と協議をしながらオンラインでの実施を模索した。加えて,定量的データの解析法についての再検討を開始した。 蓄積したアセスメント事例のアクチグラフデータ及び睡眠日誌からは,就床時間の遅さと起床時刻の分散の大きさという,これまでのASD児者における特徴と一致する結果が得られた。また乳幼児期より睡眠に関する何らかの困り感が継続していたことが確認された。生活リズムの改善介入法として,アセスメント結果をもとに担任教員と協議し,認知行動療法的方法を計画するとともに,本人の意思やアイディアも取り入れながら自己決定をサポートすることとした。介入効果については次年度に事例検討を行うこととした。 2020年度は睡眠ポリグラフによる検討は実施できなかったが,ASD児者の参加者を募り,研究フィールドを拡げた。その過程で,地域の親の会や学校教員等による研究会等との関わりが生まれ,意見交換や協議を通してASD児の生活リズムの問題に対する関心が高いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は取得できたデータは少なかったものの,新たなASD診断のある児童1名の協力を得て,アセスメントデータを取得することができたため,参加者募集については,概ね順調に進展しているといえる。 ただし,コロナ禍の影響で脳波検査実施に関して慎重にならざるを得ない状況にあるため定型発達者・ASD児者ともに睡眠ポリグラフデータの蓄積が滞っており,一部に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き大学生を対象とした基礎データの蓄積とアセスメント法の検討を行うとともに,ASD児者の参加者を募り,研究フィールドを拡げる。ASD児者の指標は基礎データ分析の結果によって検討を加え,より適切な指標を同定した上でASD児者のデータの蓄積を開始する。蓄積した全てのデータによってアセスメント法の開発を検討し,可能な範囲で生活リズム改善の事例検討に応用する。この間,学会発表や論文執筆を積極的に行う。コロナ禍の影響で終夜睡眠ポリグラフ実験が行えない場合は,短時間の覚醒-睡眠移行期のみの実験に切り替え,データの蓄積を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により,学会及びフィールドワークに関わる旅費を使用しなかった。加えて,睡眠ポリグラフ実験の実施も実質不可能であったため,物品購入も最低限に抑えた。今後,実験の実施が可能な状況を待つとともに,短時間で安全な実験法を考案しながら研究を進める。
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