2023 Fiscal Year Annual Research Report
Psychophysiological study of sleep onset insomnia and intervention study for life rhythm improvement in autism spectrum disorders
Project/Area Number |
19K02918
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
平野 晋吾 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (90571654)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 生活リズム / 入眠困難 / アセスメント / 睡眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ASD児者やその家族における代表的な愁訴の1つである入眠困難の特徴を明らかにし,生活リズムの形成や改善のための個別支援計画立案に資するアセスメント法の開発を目的として実施した。 最終年度となる本年度は,小学生148名を対象として入眠困難に間接的な影響を与えると考えられる学校適応感と睡眠との発達的な関係について分析した。その結果,学年が上がるにつれて,睡眠時間の減少とともに,熟眠感,朝の気分・やる気,食欲などが減退することが示された。また,勉強に不安を持っている児童ほど,主観的な睡眠時間が短く,朝の食欲や動機が低いという相関関係が示された。また学年毎に睡眠変数と関連する学校適応感変数に違いがみられた。特に,対人関係への不安は,低学年から中学年にかけては,主観的な睡眠時間と負の相関関係が見られたが,高学年においては,熟眠感との負の相関関係と,加速度計を用いて客観的に測定した夜間の中途覚醒の長さとの間に正の相関関係が見られた。これらの結果から,日中の活動の質が発達の中で主観的な睡眠困難感だけではなく,実質的な睡眠の質の低下とも関連を持つように変化することが示唆された。ただし,これらの因果関係の推定には今後の更なる研究が必要である。 これまでの研究成果から,ASD児の入眠困難を含む睡眠や生活リズムの非特異的な発達は,その特性と生活・睡眠環境との長期的な相互作用の中で起こっていることが示唆された。そして,空間や時間の構造化が常に支援の課題となる発達障害児の睡眠を改善するためには,より多角的・多専門的な連携体制の中で,一人ひとりを理解し支援するための自立活動的な視点を持つ支援方法の開発が求められているといえる。そのためのアセスメント・パッケージには,睡眠日誌などの主観的記録と客観的指標の組み合わせともに,日中活動の困難との関係を読み解く視点の導入が必要であることが示された。
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