2019 Fiscal Year Research-status Report
合理的配慮の決定過程における聴覚障害学生の情報保障リテラシーの醸成に関する研究
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19K02927
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
中島 亜紀子 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 助教 (30589007)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 情報保障 / 聴覚障害 / 合理的配慮 / 意思表明支援 / 障害学生支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
障害者差別解消法の施行により、障害学生支援においては本人の意思表明と建設的対話を通して、合理的配慮が提供される体制が整備されつつあるが、聴覚障害のある学生が意思を表明し支援決定のプロセスに参画していくためには課題が残されている。本研究では、聴覚障害学生が支援に関する知識や情報を得て、ニーズを他者に伝えていくための環境整備のあり方を明らかにする。 本年度は、聴覚障害児童・生徒の情報保障支援や支援ニーズに関する先行研究を整理するとともに、聴覚障害学生支援に携わる支援者にヒアリング調査を行った。また、聴覚障害のある児童、生徒に対する試行的な研修等の機会をもった。 1.文献調査:大学における合理的配慮決定のプロセスに参画するには大学入学前の支援ニーズや環境の影響が大きいとの視点に立ち、小学校から高等学校段階での情報保障支援や聴覚特別支援学校における自立活動での情報保障や意思表明に関わる先行研究を調査した。年代ごとの課題や指導実践の特性について整理した。 2.ヒアリング調査:聴覚障害児・者における意思表明や情報保障の知識・経験の獲得過程について明らかにするため、大学における聴覚障害学生支援や聴覚障害児・者の支援・教育に造詣の深い現場担当者数名を対象に、半構造化面接による面接調査を行った。この調査から、聴覚障害児・者に対して働きかける人材、方法、および内容について、必要とされる要素を整理できることがわかってきた。 3.試行的研修:当初予定では次年度以降に取り組む計画であったが、機会を得て、高校生を対象にした研修および小学生を対象とした情報保障体験等を行った。指導内容や教材について情報提供をいただくと共に、本学担当者より指導時の留意点や研修プログラムへの要望等を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査及びヒアリング調査を行い、情報保障のリテラシーにまつわる指導や支援の実践事例や課題点について調査することができた。また、次年度以降に予定していた研修・情報交換の試行的な実施について、一部実施することができ、今後の取組に向けた留意点や論点の整理を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
聴覚障害学生の実情を把握しつつ、実践事例の収集も行っていくため、当初想定していた量的な質問紙調査の併用ではなく、半構造化の面接法を中心に、実態調査を進める。また、研修、情報交換などの試行的な実施については、同世代集団を対象としたプログラム開発に限定せず、本年度および次年度の実態調査を踏まえ多様な実施形態を検討していく。
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