2021 Fiscal Year Research-status Report
学習障害児の早期対応のためのカリキュラムに基づく尺度の活用と指導効果の検討
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19K02933
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
干川 隆 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90221564)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学習困難 / プログレスモニタリング / カリキュラムに基づく尺度 / ユニバーサルスクリーニング / 評価 / 学習指導 / 学習障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
算数のカリキュラムに基づく尺度(CBM)を標準化するために、小学校の協力を得て6月から3月まで月に1度、2年生から6年生の205人の児童について、算数CBMを実施した。その結果、これまで得られたデータと同様に1年間に30から50ポイントずつ得点が上昇することが示され、算数CBMがプログレスモニタリング尺度として活用できることが示された。 1学期の算数CBMの得点に基づいて、1標準偏差以下の児童を要支援児として特定した。算数CBMはユニバーサルスクリーニングとしても活用できた。その中から保護者の同意が得られた児童に対して、学校で特設している教科補充の時間を利用し、各学級から1から3名の小グループ又は個別の指導を実施した。これは、米国の通常の学級での支援モデルとしてのResponse to Interventionの第2層、第3層の支援にあたるものである。 2学期から3学期まで実施する予定であったがCOVID-19の感染状況によって、3学期は指導を中止せざるを得なかったが、2学期に6回実施することができた。6回の中でも変化の見られた児童がいたが、当初目的とした改善にまでは至らなかった。その一方で、下学年の算数CBMを時間制限なく対象児に解かせることにより、計算のアセスメントを行い、それによって指導計画を作成し、支援して評価するまでのプログラム化を試みることができた。 また、学習障害等の児童に定期的に個別の学習支援を行い、その際に算数と視写のCBMを実施し学習のプログレスモニタリングとしてのCBMの妥当性について検討を行い、結果をグラフ化して提示することによる対象児の動機付けを高めることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、協力小学校で定期的に算数CBMのデータを収集することができた。またCBMのデータから支援を必要とする児童を特定して、指導を実施することができた。これまで得られたデータに今年度のデータを追加することにより、より標準化を進めることができた。 また、協力校の補習時間を利用して、小グループまたは個別指導を実施することができ、アセスメントから支援までのプログラム化を試すことができた。その一方で、COVID-19の感染状況により、予定していたことを全て実施することができなかった。 さらに、CBMを用いて学習障害等の児童に対して個別指導を実施することができたことから、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の小学校のデータを追加することによって、ほぼCBMの標準化を実施することができた。今後は、この標準化されたCBMを用いて、学習障害等の児童のアセスメントを実施し、指導の経過を定期的にモニターすることにより、CBMが学習障害等の児童のプログレスモニタリング尺度として有効かどうかについて検討する。
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Causes of Carryover |
今年度、協力小学校での研究支援員による個別指導等を予定していたが、3学期にCOVID-19の感染状況のため当初予定していた小学校での指導ができなくなってしまった。このため、次年度への使用額が生じた。 次年度は、この額を用いて研究支援員を雇用するための人件費として使用する予定である。
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