2022 Fiscal Year Annual Research Report
学習障害児の早期対応のためのカリキュラムに基づく尺度の活用と指導効果の検討
Project/Area Number |
19K02933
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
干川 隆 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90221564)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学習障害 / プログレスモニタリング / カリキュラムに基づく尺度 / 漢字 / 評価 / 学習指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで定型発達の児童を対象として標準化を試みてきた計算と視写のCBMを,学習につまずきがあり支援を必要とする児童に対して,学習のプログレスモニタリング尺度として活用できるかどうかについて検討することを目的とした。 対象児は,発達障害(主に学習障害)のある14名の児童(男児10名,女児4名)であった。いずれの児童も学習のつまずきがあった。14名の児童のうち11名が通常の学級に在籍し,3名が特別支援学級に在籍していた。診断名は,疑いを含めて10名とLDが多く,診断名なしが2名,ASDとADHDの診断が2名であった。また,学習のつまずきでは全員が漢字につまずきが見られ,漢字のみのつまずきが4名であり,残りの10名は漢字と算数(主に文章題)につまずきがあった。 支援は,年度初めに保護者から報告のあった学習のつまずきに焦点を当てて実態把握を行い,実態把握に基づいて個別の指導計画を作成し,保護者に提示されて了承を得た。作成された個別の指導計画に基づいて支援を実施し,毎学期ごとに評価を行い,個別の指導計画の見直しを行うサイクルを繰り返した。全ての対象児に対して,視写と計算のCBMを毎回のセッションで実施した。 結果は,初回と最終回のZ値とその差から計算CBMでは,Z値の差が0.5以上上昇した者が14名中6名いた。逆に,Z値の値が1.25低下した者も1名いた。それ以外は,大きく成績が下がることはなかったことから,現状の成績を保持できていたことを計算CBMは示すことができた。視写CBMでも同様に学習の進捗状況をモニターすることができた。定期的にCBMを用いて学習の進捗状況をモニターすることができれば,支援内容の確認につながり,差を広げずに現状を保持することができていると考えられる。
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Research Products
(2 results)