2020 Fiscal Year Research-status Report
Organization of essential vocabulary and development of vocabulary instruction in the elementary school level special needs education
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19K02951
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
大伴 潔 東京学芸大学, 特別支援教育・教育臨床サポートセンター, 教授 (30213789)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 語彙 / 特別支援教育 / 言語発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)幼児の語彙発達についてはいくつかの先行研究があり、ASD幼児は語彙獲得に遅れがあるものの語彙のパターンは定型発達(TD)幼児と似ていると報告されている(Charman et al., 2003; Rescola & Safyer, 2013)。しかし、明らかな発達の遅れのないASD幼児を対象にした、語の意味的特徴に着目した検討は十分ではない。そこで、ASDの診断を受けた30~42か月の男児10名と30~41か月のTD幼児10名を対象にして、11~14か月の間隔を空けて2回(Time1, Time2)に渡って語彙質問紙による調査を行った。併せて、LCスケール(言語・コミュニケーション発達スケール)による言語発達の評価と、対人性応答尺度(SRS-2)によるASD幼児のプロフィールに関するアセスメントも実施した。その結果、Time1では特定の意味カテゴリー(公園、会社など家庭外の場所に関する語彙)において、ASD幼児はTD幼児よりも有意に獲得語彙が少ないことが示された。ASD幼児の興味関心の限定といった特徴が初期の語彙獲得に影響を与えていると推測される。また、Time2においては、ASD幼児はTD幼児に比べて動詞のレパートリーが10%水準で少ない傾向が認められた。LCスケールによる言語評価からは、LC年齢と獲得語彙との関連が認められた。また、SRS-2によるASD幼児のプロフィールからは、ASDの特性が強いほどコミュニケーション領域LC指数が低いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は新型コロナウイルスのために調査に制約が生じた部分もあるが、自閉スペクトラム症幼児のデータを収集・分析することができたため、比較的順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度以降は、典型発達を示す幼児ならびに知的障害のある児童生徒、言語発達に課題のある通級指導を利用する児童を対象とした語彙知識の調査を行う予定である。しかし、新型コロナウイルスのために学校での調査に制約が生じ、当初予定していた調査が困難になる可能性もある。調査の実施方法を修正しながら進めていきたい。
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Causes of Carryover |
令和2年度は旅費の支出を見込んでいたが、新型コロナウイルスのために出張の機会がなかったことが残額が生じた一因である。次年度の出張に使用する予定である。
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