2021 Fiscal Year Research-status Report
Organization of essential vocabulary and development of vocabulary instruction in the elementary school level special needs education
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19K02951
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
大伴 潔 東京学芸大学, 特別支援教育・教育臨床サポートセンター, 教授 (30213789)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 語彙 / 特別支援教育 / 言語発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は以下の2つのテーマに沿って、研究を実施した。 1)令和2年度の研究の延長として、初回評価時3歳0か月から4歳0か月の自閉スペクトラム症(ASD)児と定型発達児各7名を対象とし、「お話し作り課題」における発話の統語面や語彙面の分析を行った。約6か月の間隔を空けて3回に渡って縦断的に検討したところ、自立語の生起頻度や種類数については群間の有意差や継時的な変化は認められなかったが、接続表現の生起頻度については継時的変化が示され、接続表現が豊かになる過程が明らかになった。 2)令和元年度からの研究の展開として、全164語の動詞、形容詞、疑問詞から成る中核的語彙を選定した。動詞と形容詞は、15の意味的カテゴリー(一般、粗大運動、生活習慣、学校生活、移動・空間的操作、物の操作・動き、物の特性にもとづく行為・状態、配列・集合、物の所有、他者との関係、活動・心的活動、感覚、情動、評価、対比)に分類される。知的障害特別支援学校に在籍し、2語連鎖以上の発話がある児童53名(うちASD児30名)について、学校および保護者の同意のもとに、担任教諭による各児童の獲得語彙について調査を実施した。評定はチェックリストを用い、各語について、①自然な会話で大人のモデルなしに自分から言う、②自然な会話で大人のモデルがあればまねして言う、③絵図版の説明など言葉の学習場面であれば言う(模倣含む)、のいずれかに該当する場合にチェックを求めた。①から③のいずれかに該当する場合を「獲得語彙」とした場合、児童の86.7%が獲得していた「食べる」から、最も獲得率が低い(22.7%)の「沈む・沈める」までの範囲となり、平均獲得率は57.5%であった。今後、語彙の意味特性と獲得率との関連などについて検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は新型コロナウイルスのために、個別に対面実施による課題が行えないという制約もあったが、特別支援学校の児童を対象とした語彙の質問紙調査を実施することができたため、比較的順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は2語連鎖以上の発話がある児童を対象とした調査を行ったが、一語文期の児童の語彙獲得に関する実態も把握する必要がある。令和4年度は、一語文期の児童からのデータを含めて、語彙獲得の状況を明らかにするとともに、重要語彙の体系化を進める。研究課題となっている、語彙指導法の構築については、対面実施が困難なことも予想されるため、調査をもとに発達段階に応じた語彙の選定により焦点を当てていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和3年度は旅費の支出を見込んでいたが、新型コロナウイルスのために出張の機会がなかったことにより残額が生じた。次年度の出張に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)