2023 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム児のコミュニケーションスキルに関する実験語用論的検討
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19K02954
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
三浦 優生 愛媛大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (40612320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江上 園子 白梅学園大学, 子ども学部, 准教授 (10451452)
久津木 文 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (90581231)
冨田 享子 (神井享子) 愛媛大学, 教育学部, 講師 (70908920)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム / 実験語用論 / 取り立て詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、学齢期のASD児に対し、取り立て助詞の理解の検証を行った。取り立て詞とは、言及された対象と、それと同様の属性を持つ別の対象について、二者の関係性を伝える機能を持つ。言及されていないその他の対象が何であるかを、文脈を参照して特定する必要があることから、語用論的スキルが不可欠であることが考えられる。ASD児は語用論スキルに困難を抱えることが知られているが、ASD児による取り立て表現の理解についてはこれまで日本語では検証されていないことから、本研究の結果が新しい知見をもたらすものと考えた。 調査では、累加と対比の機能を持つ助詞を対象とし、すでに先行研究において報告されている、中国語における累加の取り立て副詞の発達をASD児に検証した実験パラダイムを採用した。 課題では、異なる助詞を含む発話を参加児に聞かせ、その発話文に合致する画像を選択させた。その結果、定型発達児においては天井効果を示したが、ASD児においては、正答率にばらつきが認められた。群内分析を行ったところ、語彙発達が年齢相応以上で、9歳相当以上の発達を遂げているASD児は高い正答率を示したが、その基準に達しない子どもの正答率は有意に低かった。一方、子どもの生活年齢や非言語性推論能力、自閉性の程度といった値と課題の成績との間の相関は、いずれも認められなかった。 本実験では、音声呈示中の視線の動きも記録しているため、今後は引き続き視線データの検証を進める。また、言語発達を基準として臨床群をさらに2群に分けて比較するために十分な参加数を確保することが次年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
例年通り、臨床群と定型発達群の児童およびその養育者を対象とした調査を実施することができている。調査結果については、国内外の学会において報告を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるため、論文化に必要なサンプル数の確保、調査データの分析、成果発表を目標とする。次年度の新しい研究プロジェクト計画のために成果だけでなく残された課題を整理しつなげていくことが望ましい。
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Causes of Carryover |
国内・および外国旅費について、他用務と併せて出張したものについては、支出を他の経費と折半することができたため、残額が生じた。
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