2023 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の談話能力発達評価法の作成と言語発達支援への応用
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19K02958
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
瀬戸 淳子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (70438985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦野 悦子 白百合女子大学, 人間総合学部, 特別研究員 (50114921)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 談話能力 / 幼児期 / 発達評価 / ナラティブスキル / AcNas / 言語発達支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、研究成果として幼児期の談話能力の発達評価法を作成した。また、この評価法を、特別な支援が必要な幼児に実施をし、評価と支援への有効性を検討した。 1)談話能力の発達プロセスの分析および発達評価法の作成:これまでの調査データをもとに、発達評価に有用な課題、指標、得点基準を見直し最終確定をして、5課題からなるナラティブスキルの発達アセスメント(AcNas: Assessment Scale for Children’s Narrative Skills)を作成した。得点化については、①文復唱課題:10課題を確定し、復唱水準をもとに得点化をした。②事象系列課題:表出課題は中核事象の表出数と水準、理解課題は事象の系列順序の理解水準をもとに得点化した。③遊びルール課題と④状況絵課題:それぞれ3課題を確定し、中核事象には重みづけをして語りを得点化した。⑤物語再生課題:物語のマクロ構造と談話構造の観点から語りを得点化した。 ナラティブスキルの発達過程は、課題により発達のずれがみられながら6歳で一定の水準に達することが明らかにされた。ナラティブスキルの発達は個人差が大きいので、得点評価は平均値よりもパーセンタイル値で捉えるのが有効であることが示された。また、課題間の相互関係、語彙などの言語能力との関係性についても分析を行った。 2)聞き手から引き出される談話能力についての分析:調査データをもとに聞き手から引き出される談話能力や、補助図版によって引き出される談話能力についての分析を行った。 3)特別な支援が必要な幼児の談話能力評価と支援:園生活の適応に困難を抱える特別支援児を対象に、作成したAcNasを実施した。AcNasによる評価結果は、日常の言語・コミュニケーションにおける語用論的側面を効果的に反映しており、日常の支援につなげることが可能であることが示された。
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