2021 Fiscal Year Research-status Report
東アジア型教育情報化モデルの開発と対応する教師教育デザイン原理の探究
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19K02970
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
野中 陽一 横浜国立大学, 大学院教育学研究科, 教授 (10243362)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育の情報化 / 日中比較 / 教師教育 / モデル開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国における教育の情報化政策,情報教育のカリキュラム体系について整理し,日本との相違について検討した。また,中国における小中高の情報科目の変遷や,情報科目の教員資格,教員の情報技術応用能力標準,教員研修等について調査した結果を整理し,相違としてしか捉えられてこなかった日中双方の教育の情報化の取り組みをそれぞれの強みとして捉え直し、それらを融合し,欧米型とは異なる東アジア型の教育の情報化モデルと,それに対応した教師教育のデザイン原理に関して検討した。 その結果,中国における情報技術に関する教育が小中高で一貫して早期から行われていたことが社会全体の情報化につながり,教員も学校教育で身につけたスキルを前提として教育の情報化に取り組んでいること,情報技術の専任教員が,教科担任制が一般的である小学校段階から各学校に配置されていること,教員研修においては,「大学と教育委員会の連携」によるe-learningが強みとなっていること等を確認した。学校教育におけるカリキュラムや先進的なテクノロジーの教育への導入についても,これまでの学校教育での経験が促進要因となり,学校外の学習においても,同期協働遠隔授業の発展型でありAIを活用した「双師授業」等への抵抗感も見られない。 新型コロナウイルス感染症対策において,日本の多くの学校が未だに遠隔授業に対応できていない状況にあるが,中国においては,地域格差はあるものの教員が情報テクノロジーを受け入れる態度等に加え,社会全体の情報化が教育の情報化により強く影響しており,円滑な対応が進められていると考えられる。 なお,新型コロナウイルス感染症の影響により,現地調査が実施できなかったため,文献資料等による情報収集からの考察となったが,引き続き,中国との比較をベースに,東アジア型教育の情報化モデルとそれに対応した教師教育のデザイン原理を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で現地調査が実施できなくなり,研究協力者を介しての資料収集等が中心となった。また,日本においてGIGAスクルール構想の前倒しや新型コロナウイルス感染症への対応のためのオンライン授業への取り組みが始まり,これまでの教育の情報化プロセスとは異なる状況が生まれている。これらの要因が教育の情報化の変容プロセスに影響し始めており,オンライン授業への取り組み等授業の変容のプロセスに影響を及ぼすだけでなく,教員研修等においても,オンライン研修やオンラインコンテンツの普及が加速化するなど,教師教育のデザインの在り方にも影響を及ぼしている。 これらのことから,授業の変容のプロセス,その変容プロセスのフェーズの設定から見直しを行い,それらに対応した教師教育のデザイン原理を再検討する必要が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の影響で,現地調査が難しいと考えられるため,浙江師範大学の教師教育学部に着任した研究協力者と連携し,資料収集,分析を進める.また,新型コロナウイルス感染症が日中の教育の情報化の変容プロセスにどのような影響を与えているのか,両国の教育委員会及び小中高等学校で何が起きているのかを含め,留学生の修了生等にも協力を求めて情報収集を行う. これらの情報を踏まえた上で,教育の情報化モデルの見直しを行いながら、変容プロセスのフェーズ,教師教育の在り方について再検討する. なお,東アジアの国々において新型コロナウイルス感染症の状況及びその影響は異なっており,東アジアの共通点を抽出することが難しいことが予想されるが,その場合は,日中双方の教育の情報化の取り組みをそれぞれの強みとして捉え直し,教育の情報化モデルを検討し,変容プロセスのフェーズごとの教師教育のデザイン原理を合わせて考察する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で,現地調査が実施できず,海外旅費が執行できなかった。また,学会もオンラインであったため旅費の執行ができなかった。次年度も中国における現地調査の実施は難しいと考えられるため,資料整理,調査補助等の人件費や資料翻訳等で,使用する予定である。
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Research Products
(8 results)