2022 Fiscal Year Research-status Report
保育者の力量形成におけるマイクロティーチングの研究
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19K02981
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
金子 智栄子 学校法人文京学院 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70257442)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロティーチィング / 保育者研修 / 力量形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
審査論文は3本(日本語2本、英語1本)、学会発表は4本である。 2021年3月に日本教育工学会論文誌に「保育現場におけるマイクロティーチング活用の効果」が掲載され、その英語論文が2022年にInformation and Technology in Education and Learningに掲載された。この論文では、マイクロティーチング(MT)の保育者役の経験年数が2年目であったことから、経験年数の多い保育者についてもMTの有効性を検討することにした。後続の論文として、経験13年のベテランを保育者役にした園内研修に関する論文が、2023年に日本教育工学会論文誌に「ベテラン保育者研修におけるマイクロティーチングの実践事例」という題目で掲載された。一方で、文京学院大学研究紀要に「中堅保育者のジグソーパズル製作をテーマにした実践事例」も発表した。いずれもMTの効果を観察法と質問紙法を用いた混合研究法により詳細かつ多角的に検証した論文である。成果としては、模擬保育の行動評定から、保育者役の実地指導技術の向上が確認され、研修の有効性に関する自己評定から、参加者全員の保育技術が向上し、自己の学習状態を認識して課題を発見し、幼児理解が高まることが示された。特に中堅やベテランの保育者が陥りやすい指導の惰性化の改善について論議され、経験年数の多い保育者を対象としたMT研修の有効性が確認された。学会発表は日本保育学会大会が3本(①ベテラン保育者のフルーツバスケットをテーマにした実践事例、②ロールプレイでのんびり役の幼児を演じたベテラン保育者の心情理解、③MT版ルーブリックの実践と評価)で、いずれもMT実践に関している。日本教育心理学会総会では、熟達保育者に対するMT研修の効果を検討した。 経験の浅い保育者ばかりでなく、中堅、ベテラン、熟達の保育者に対してもMT研修の有効性を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロティーチング(MT)の種類として、幼児を対象に保育する場合をMT、大人が幼児を演じる模擬保育を用いたMTを簡易型MTとして区分している。2021年に、保育現場で絵本読みを題材にしてMTと簡易型MTを現職保育者対象に7月、養成校の4年次学生を対象に11月実施できた。本来は2020年に実施したかったがコロナの影響で、1年遅れの実施となった。2022年度はデータ入力、分析、成果発表に専念したが、やはりデータの収集が遅れたことが、データ入力や分析にも影響し、「やや遅れている」と判断した。 大学構内で実施したMT研修は、保育科学生が幼児役となる簡易型MTだったが、幼児役と題材を統一して、キャリアによる効果を検証中である。具体的には、風車を製作して風を探すという活動を、2019年8月に新卒保育者、2020年12月に園長級の超ベテラン保育者(保育経験年数37年の熟達者)、翌年の2021年1月にベテラン保育者(保育経験年数13年)が実施し、現在、熟達化の観点から、3者の相違点を分析中である。データ入力や分析においても、コロナの関係で分析が多少遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年に絵本読みを題材にしてMTと簡易型MTを現職保育者対象に7月、養成校の4年次学生を対象に11月に実施できた。2022年度は録音のテープ起こしやカテゴリーの分類などを、分析可能な状態にデータを整理するのに時間がかかった。2023年度は、2022年度に引き続き、①尺度評定と自由記述、②観察者による保育実践の行動評定、③保育実践や検討会の逐語記録、④長期的効果など、マルティメソッドの分析を行う予定である。①の測定尺度は、MTの有効性、指導技術、保育者の力量、保育者ストレス、保育者効力感などである。 大学構内で実施されたMT研修は、保育科学生が幼児役となる簡易型MTであったが、幼児役と題材を統一して、キャリアによる効果を2022年度に引き続き分析して検証する予定である。具体的には、風車を製作して風を探すという活動を、2019年8月に新卒保育者、2020年12月に園長級の超ベテラン保育者(保育経験年数37年の熟達者)、翌2021年1月にベテラン保育者(保育経験年数13年)が実施した。2023年度は①尺度評定と自由記述、②観察者による保育実践の行動評定、③保育実践や検討会の逐語記録、④長期的効果など、マルティメソッドの分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
マイクロティーチング(MT)の種類として、幼児を対象に保育する場合をMT、大人が幼児を演じる模擬保育を用いたMTを簡易型MTと区分している。コロナ禍でデータ収集が滞っていたが、2021年に絵本読みを題材にしてMTと簡易型MTを現職保育者対象に7月、養成校の4年次学生を対象に11月実施できた。しかし2022年度には録音のテープ起こし、カテゴリー分類など、データの整理に時間がかかり、予定の分析が行えなかった。そこで、2023年度は、データ分析についての費用などが必要である。
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Research Products
(7 results)